女子学生の理工系への進出は年々増しているが、 物理学を専攻する数はまだまだ少ない。 本学の一般教育でも家政学部の理科系以外の学科からの履修者はほとんどいない。 しかし物理学は自然科学の基礎となる学問であり広く学ばれることが望ましい。 それには興味を引く実験を中心として、 物理学的概念を学ぶ授業を展開するのが有効であると考えられる。 理解しにくく、 興味を持ちにくいというという意識を改めさせ、積極的な活動力を引き出す物理受験教育のために次の諸点について研究を行った。 1)本学の一般教育の物理学実験の2テ-マ(シンクロスコ-プの応用、レ-ザ光を用いた光回折)の原理説明とデ-タ処理に学生が興味を示すパソコンを用いてグラフィック処理を導入しわかり安い構成を試みた。 2)現象が目に見えるためわかりやすく楽しんで出来る光学実験のテ-マとして白熱電球の特性や光回折の実験教育を行う前のガイダンスの準備として、 基本的な光学用語と簡単な作図で学生の知識調査を行った(応用物理教育分科学会会誌、 vol.15)。 3)附属高校および私立、 県立などの女子系高校(34校)の物理学担当者に物理教育の現状と実験教育についてアンケ-ト調査を依頼し、 かなりの学校が真剣に実験教育していることを確かめた。 さらに物理学の受講者が減少していることへの対策について多くの示唆があった。 4)3の高等学校のうちの11校の生徒に物理教育の問題点や将来の進路など大学との接点についてアンケ-ト調査を行い、 生徒の考える物理教育の現状と興味のあり方を明らかにした。 5)全国の87校の国立、 私立の女子大学の一般教育の物理学担当者にアンケ-ト調査を依頼し家政学部系の大学では30%以上が実験を伴う教育が行われていること、 また設備や助手の補充があれば実験教育を行いたいとその必要性を認めていることも明らかになった。 6)本校の理科系学生2〜4年生を対象にアンケ-ト調査を行い、 物理系、 化学系、 生物系の順で物理実験教育が専門教育に有効であることを認識していることを確かめた。 これらのアンケ-ト調査の結果はコンピュ-タにより処理し、 グラフ化し学会で報告の予定である。
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