研究概要 |
筑波大学の構内において樹高約3メ-トルのスギを一本選定し,自生の状況下において,スギの質量,固有振動数を測定した。これにおいてはこれまでの方法を改良し,付加質量の位置,質量をかえてより精密な方法によった。この結果これまでの簡便法とほとんど変わらない成果がえられた。風速については測点を1点より3点に増やしてより精密な観測を行なったが,粗放な林中での風速分布はかなり複雑で,これ自体今後の研究に値する問題のようである。本年度はあまり強い風がふかず,観測には多大の時間を要したが,それでもかなりのデ-タは得られた。 抵抗係数は風速の自乗を多少加工したものの外力とし,線形の振動系について全体にフ-リエ変換をほどこし,一挙に抵抗係数を算出する方法を試みた。この方法によると,抵抗係数の周波数依存性がやや顕著に現われ,実用上はやや不便である。しかし,平均値としては0.3から1.0の間に分布しており,これまでの結果とよく一致する。 さらに樹木がどのような条件下で切断,ねじきれ,あるいは根こぎの現象を生ずるかということについて実測デ-タを活用して推定を行ない,これまでの台風時のデ-タと比較してほぼ妥当な推定方法を得た。土の表面の破壊特性については実験値がなく,将来大規模な実測を行ない,本研究の裏付けを行なう必要がある。
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