研究課題/領域番号 |
01602502
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大竹 久夫 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (10127483)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 六価クロム / 重金属 / 防御機能 / 細胞 / 重金属ストレス |
研究概要 |
六価クロムは生体毒性が強く、突然変異誘発性もある。六価クロムは主として細菌の硫酸能動輸送系を経由して細胞内に入り込み、その強力な酸化能により蛋白質や核酸を酸化して自らは三価クロムに還元される。本研究の目的は細菌の六価クロムストレス防御機能の骨組みと、それを利用した有害六価クロムの生物処理の可能性を探ることである。 膜輸送調節型の防御機能は好気条件下での六価クロム耐性細菌にほぼ共通した防御機能であり、緑膿菌Pseudomonas aeruginosa臨床株由来のプラスミドpUM505(約90kb)よりこれを支配する遺伝子(chrA)を初めてクロ-ニングした。塩基配列の決定により膜輸送調節型の防御機能は単一の遺伝子(chrA:1250bp)に支配されていることが解った。 六価クロム還元型の防御機能は腸内細胞Enterobacter cloacae H01株に見いだされた。Enterobacter cloacae H01株は嫌気条件下でのみ六価クロムを三価クロムに変換した。六価クロムの三価クロムへの変換にともない細胞外に水酸化クロムの白色沈澱が形成され、培養液は黄色から白色に変化するとともに濁度が増加した。六価クロムの三価クロムへの還元はまた電子スピン共鳴法(EPR)によっても確認された。透過型電顕により細胞外に電子密度の高い沈澱物の存在が観察されたが、X線解析の結果この沈澱物がもっぱら金属クロムを含むこと及び細胞内にはクロムの蓄積が見られないことが解った。六価クロムの三価クロムへの変換機能は細胞内膜に局在していた。Enterobacter cloacae H01株から調製した反転していない膜小胞にアスコルビン酸-PMSを電子供与体として加えると速やかな六価クロムの三価クロムへの変換が認められた。本菌による六価クロムの三価クロムへの変換は細胞外表面で行われるため、細胞にはクロムが蓄積しなかった。したがって細菌を生体触媒として何度も繰り返し利用できることも解った。
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