研究概要 |
1)異種遺伝子をCandida maltosaに導入して発現させるため、まず宿主ベクタ-系の改良を行った。これまではC.maltosa(Leu^-)株を宿主として用い、Leu2遺伝子をマ-カ-に持つベクタ-を利用して来たが、この宿主は最少培地での生育が悪いなどの問題があった。そこで、C.maltosa(His^-)株、C.maltosa(Ade^-)株、さらにC.maltosa(His^-,Ade^-)株を宿主として、これらを相補する遺伝子C-His5,C-ADE1遺伝子をクロ-ン化し、それらのヌクレオチド配列を決定した。その結果、新たに3系列の宿主・ベクタ-系が確立させ、優良な宿主を用いた遺伝子操作の場が完成された。 2)細菌由来の異種遺伝子をC.maltosa中で発現させるためにはC.maltosa内で高い発現を示すプロモ-タ-を得る必要がある。そのためまずプロモ-タ-検索ベクタ-を構築し、次にこれを用いて、C.maltosaゲノム中より数種のベクタ-用プロモ-タ-を単離した。これらを用いC.maltosaでの発現ベクタ-を完成させた。 3)一方、環境汚染物質の分解系遺伝子としては、Pseudomonasのポリ塩化ビフェニル(PCB)分解に関与するものを用いた。すでに我々がPCBヌクレオチド配列を決定した。これら遺伝子の中から、2,3-ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナ-ゼをコ-ドするものを取り出した。その前後のヌクレオチド配列を改変してC.maltosaの発現ベクタ-に挿入可能にし、連結した。このようにして作製したベクタ-をC.maltosaに導入し、2,3ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナ-ゼの発現をコロニ-黄色化法で検定している。
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