研究課題/領域番号 |
01602505
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
青島 恵子 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (20126501)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | カドミウム / 環境汚染 / 尿細管障害 / β_2マイクログロブリン / 骨萎縮 / ビタミンD代謝 / 性差 / イタイイタイ病 |
研究概要 |
カドミウム環境汚染による健康障害を早期に防止するために、カドミウム暴露による健康影響の男性と女性の差異(性差)を検討した。富山県神通川流域カドミウム汚染地住民を対象に、尿細管機能ならびに骨代謝に関する検討を行い、以下の結果を得た。1.対象151人(男70人、女81人、56〜71歳)のβ_2-microglobulin排泄率(FEβ_2-m)の平均値(範囲)は、男4.58(0.15〜59.4)%、女3.97(0.2〜65.3)%であり、男女ともに著しい高値を呈し、β_2-mの高度の尿細管再吸収障害を認めた。2.尿細管におけるβ_2-m再吸収障害の程度と関連して、尿酸・カルシウム・リン・グルコ-ス・重炭酸イオンなどの再吸収も障害されており、多発性近位尿細管機能異常症と診断した。3.リンおよび重炭酸イオン再吸収低下による低リン血と代謝性アシド-シスをFEβ_2-m30%以上の高度尿細管障害12例(男7、女5)に認め、更に血清アルカリホスファタ-ゼ活性が上昇している9例(男6、女3)を潜在性尿細管性骨軟化症と診断した。4.手骨X-PのMD法による骨萎縮度の程度は、尿細管障害が高度となるにしたがい、男女ともにΣGSID,MCIの低下を認めたが、女性の低下がより顕著であった。5.高度尿細管障害11例(女性)を対象に血中ビタミンD代謝物(1.25(OH)_2、25(OH)D]のレベルと尿細管障害との関連を検討した。25(OH)D値は3例が低値、8例が正常下限値であった。1.25(OH)_2D値は7例で測定し得たが、6例が正常範囲内であった。1.25(OH)_2Dと糸球体濾過値ならびにFEβ_2-mとの間に、それぞれ正(r=0.802)、負(r=-0.829)の有意な(p<0.05)相関関係が得られた。この結果より、カドミウムによる尿細管障害においては、その程度が高度となれば、尿細管における1.25(OH)_2Dの産生低下がおこることを明らかにした。ビタミンD代謝異常については、症例を増加し、更に詳細な検討が必要である。
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