研究課題/領域番号 |
01603505
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平井 敏雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50005865)
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研究分担者 |
大森 守 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30005954)
増本 博 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50209459)
佐々木 眞 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70187128)
山根 久典 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20191364)
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60125549)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1989年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | 耐食被覆 / UT-3 / 炭化チタン膜 / 炭化ケイ素膜 / ステンレス鋼 / CVD / 積層膜 / マイクロラック |
研究概要 |
水の熱化学反応による水素製造プロセスの一つである“UT-3"の実用化のために、耐食性の優れた装置構成材料の開発が求められている。また、装置を大型化するために、加工性の優れた金属材料を用いる必要がある。しかし、“UT-3"プロセスの環境に耐えうる高耐食性の金属材料はない。そこで、本研究では、ステンレス鋼の耐食性を向上するために、CVD法により炭化チタン(TiC)/炭化ケイ素(SiC)膜を被覆することを試み、その最適合成条件及びBr_2ーO_2雰囲気における高温腐食挙動を明らかにすることを目的とした。TiCl_4+CH_4+H_2ガスを原料として、ステンレス鋼(SUS304)上にTiC膜を被覆し、引き続いて、(CH_3)_4Si+H_2およびCH_3SiCl_3+H_2ガスを原料としてSiC膜を被覆した。SUS304上にTiC膜を約10μm以上被覆した場合にはTiC膜上に緻密なSiC膜を合成することができたが、TiC膜が10μm以下の場合には気相中のSi源とSUS304中のFeが反応して、FeSiやη-Fe_5Si_3が形成され、緻密なSiC膜は形成されなかった。 TiC/SiC膜を被覆したSUS304のBr_2-O_2雰囲気における腐食挙動を、973〜1173Kの温度範囲で熱天秤を用いて調べた。TiC膜を被覆したSUS304は比較的良好な耐食性を示すものの、約1000K以上の高温では耐食性が低下するのに対し、TiC/SiC膜を被覆したSUS304ではいずれの温度でも極めて優れた耐食性を示した。CH_3SiCl_3をSi源としたSiC膜では、腐食によるわずかな重量増加が認められた。これはSiC膜中の残留応力によって微小なクラックが発生し、そのクラックを通して下層のTiC膜がわずかに酸化された。一方、CH_3SiCl_3をSi源としたSiC膜では、いずれの温度でも腐食による重量変化や表面組織の変化は全く認められなかった。CH_3SiCl_3をSi源としてTiC/SiC膜を被覆したSUS304の繰り返し腐食を773Kと1173Kの間で調べたが、腐食による重量変化は極めてわずかであり、TiC/SiC膜は優れた耐食性および耐熱衝撃性を有することがわかった。
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