研究概要 |
半導体融媒による光エネルギ-の化学的変換の高効率化を目的とし、インタ-カレ-ション型層状半導体および層状超微粒子半導体を選び、水の完全光分解反応活性および超微粒子の光誘起電荷分離効率を調べた。層状酸化物であるM_2Ti_nO_<2n+1>(M=アルカリ金属)はn=3,4,6,8およびM=Na,K,Rbにおいて、層間にPtあるいはRhをインタ-カレ-トさせた場合には、水素生成活性は著しく低くまた酸素もほとんど生成しないのに対し、Ruをインタ-カレ-ト後酸化して得たRuO_2では水素と酸素はほぼ化学量論比で生じる結果を得た。RuO_2活性相およびn=6においては活性は最も高く、またNaを含む方がKより高くなることを見出した。高い活性を示したNa_2Ti_6O_<13>半導体触媒では還元処理よりも酸化処理によって高い活性が得られ、酸素と水素の生成も化学量論的に起こる。この事は還元処理を必要とする従来のTiO_2やSrTiO_3酸化物半導体には見られない特徴であり、本半導体が安定な光触媒となる事が示された。光触媒の高活性化にはインタ-カレ-トされるRuO_2量が重要であること、およびRuO_2がNa_2Ti_nO_<2n+1>のトンネル構造枠に囲まれて反応活性点を形成するため高い光触媒能が発現することが明らかにされた。本光触媒において410-330nmの波長領域における量子効率は1.5%となり、光吸収が起こる350nmではこの値の数倍の値になることから、本光触媒が有用であることが結論された。 金属硫化物半導体超微粒子(CdS,In_2S_3)および層状半導体超径粒子(PbI_2,BiI_3)についてそれぞれパルスレ-ザ-分光測定および電荷分離の結果から、粒径が小さいほど光誘起電荷の再結合が速くなり、その値は小さくなること、および光融媒活性の高い層状半導体では、光電荷分離が隔離された分子層では起こらないことが示唆された。
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