研究課題/領域番号 |
01604518
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
中原 弘雄 埼玉大学, 理学部, 助教授 (10008849)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 両親媒性機能分子 / フタロシアニン誘導体 / L-ナフチルアラニルリジン長鎖誘導体 / LB膜 / 分子配列制御 / J会合体 / エレクトロクロミズム / 光励起エネルギ-緩和 |
研究概要 |
様々な機能性分子を水面上に安定な単分子膜として展開し、一定表面圧の下で二次元的な構造形成と分子の自己組織の機構を界面化学的な手法と分光学的方法を組み合わせて調べる。これに通常のLB法と水平付着法を適用して様々な高次構造からなる層状分子組織体を形成し、LB膜の光・電気物性および化学反応性に対する分子の配列効果を検討した。1)フタロシアニンにブトキシカルボニル基を2、4、6本導入した誘導体の単分子膜の表面圧-面積曲線から、置換基の数によって膜中で異なる分子配列が実現できることが示唆された。テトラ置換体LB膜の偏光スペクトルから、Pc環の配向は著しい面内異方性を示すだけでなく、膜面に垂直に近く立っていることがわかった。一方、Pc環にオクチル、デシルあるいはドデシル基を8本導入した誘導体ではPc環が膜面に平行に近く配向している。それらをITO電極上に累積してKCL水溶液中で酸化・還元を行うと可逆的なエレクトロクロミズムが観測された。2)光学活性なナフチルアラニンとリジン長鎖誘導体のジペプチドについて、単分子膜の表面圧-面積曲線とLB膜の円偏光二色性スペクトルから、表面圧の相違により膜中でナフタレン環の異なる配列・充填状態が実現できることを明らかにした。LB膜の蛍光寿命を測定した結果、膜中では溶液よりも励起エネルギ-の緩和過程が速く、高い表面圧の累積膜で500と3500psの2成分があるのに対し、低圧で累積した膜ではさらに速い100psの成分が観測された。これから低圧のLB膜の方が励起子移動に有利な発色団の配列状態をとっていると考えられる。3)長鎖メロシアニン色素は種々の脂質類と混合すると、単分子膜中で発色団の長軸が互いに並行に、密に詰まったレンガ状配列をとるJ会合体を形成する。J会合体をドナ-、ビピリジウム長鎖誘導体をアクセプタ-とするヘテロLB膜系で、電子移動は5Pc以内に起こることが分かった。
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