研究課題/領域番号 |
01604552
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
辻田 義治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70016591)
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研究分担者 |
木下 隆利 名古屋工業大学, 工学部, 講師 (60135407)
滝沢 章 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90016262)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 非平衡状態 / 高分子ガラス / ミクロボイド / 急冷処理 / ガラス状態 / 収着 / 透過 / 気体分離 |
研究概要 |
急冷処理条件の違いより得られた種々のミクロボイドを有するガラス状高分子膜の気体吸着特性について検討した。急冷処理したポリフェニレンオキサイド(PPO)のCO_2吸着量は全圧力範囲でそれぞれ徐冷膜よりも増加し、この増加は液体状態での保持温度が高くなるに伴い顕著となった。徐冷膜と比較して二元収着パラメ-タK_D、bの2つのパラメ-タには大きな変化が見られなかったのに対し、ミクロボイドの飽和収着量C′_Hは急冷処理により明らかに増加し、気体収着性の向上はC′_Hの増加に起因することが明らかになった。 次にCO_2による圧処理がもたらすPPOのミクロボイド変化が気体収着特性に与える影響を検討した。CO_2圧力下で処理したPPOの25℃におけるCO_2収着量は圧処理前の試料よりも処理圧が増すに伴い増加した。この結果も急冷処理の場合と同様に、圧処理により増加したミクロボイドに起因しC′_Hが増加したことに帰せられた。収着量の増加が50気圧を超えた時点で顕著となるのは、CO_2の50気圧以上でPPOが液体状態になることを反映し、より多くのミクロボイドが形成されたことに起因することが確認されている。一方、圧処理膜の気体透過性はミクロボイドの増加と共に向上し、その要因はLangmuirモ-ドでの溶解性の増加に加え、拡散性が圧処理の影響により増加したことに帰せられた。 急冷処理、圧処理によりモクロボイドの増加したガラス状高分子膜は透過性を高める一方で分離性を制御し、有効な選択透過膜の設計に一つの指針を呈示する結果であった。以上のように、ガラス状高分子膜のミクロボイドは急冷処理、圧処理条件の変化により物理的に制御できることが明らかになった。更に、ミクロボイドを増加させたガラス状高分子膜の膜構造は気体輸送特性に有効であることも明らかにされた。
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