研究課題/領域番号 |
01604563
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曽我 直弘 京都大学, 工学部, 教授 (80026179)
|
研究分担者 |
中西 和樹 京都大学, 工学部, 助手 (00188989)
平尾 一之 京都大学, 工学部, 助教授 (90127126)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1989年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | オキシフルオライドガラス / イオン伝導度 / XPSスペクトル / 分極率 / フッ化物イオン / 混合アニオン効果 / 非晶質材料 / 低結合エネルギ- |
研究概要 |
非晶質材料を作製する際、溶融状態において熱力学的平衡状態を取らせず、また急速に冷却するという極限条件を採用することで新しい機能をもたせる可能性がある。これまで化学結合様式から考えて超陰イオン伝導性が期待できるフッ化物系の非晶質について、超急熱・急冷法の条件のもとで試料作製を試み、高イオン伝導度ガラスを得ることができた。本研究では、さらに導電率が高く、安定性の良いガラス組成を探索する目的で種々のカチオンを導入したオキシフルオライドガラスを作製し、その構造や結合に対する知見を得、フッ化物イオン伝導のメカニズムを検討することを目的とした。得られた成果は次の通りである。 (1)ZnF_2-PbF_2-SiO_2系、(2)MnF_2-PbF_2-SiO_2系、(3)BiF_3-PbF_3-SiO_3系のガラスを作製し、その電気伝導測定を行った。この系を選んだのは、前年度に報告したように各成分の分極率が大きく、フッ化物イオン伝導性が向上すると考えたからである。測定結果を分極率に対してプロットしたところ良い相関が得られたことより、分極率の大きさもフッ化物イオン伝導に寄与することが明らかになった。 (2)フッ素と酸素が共存する、いわゆる混合アニオン効果の原因を探るためXPSスペクトルの測定を行った。フッ化物ガラスにSiO_2を導入していくとFisスペクトルのピ-クが低結合エネルギ-側にしていき、SiO_210モル%付近から高結合エネルギ-側にも新たなピ-クが生じた。前者のピ-クはMnやPbに弱く結合した荷電担体となりうるフリ-のFイオンによるもので、後者のピ-クはSiO_2ネットワ-ク中のSiに強く結合したFイオンによるものである。つまり、導電率が増加した要因はフリ-のFイオンのピ-ク位置が低結合エネルギ-側に変化していることと関係していると考えられた。この効果はPbの存在下で顕著になったが、電導度の値の上昇も良い対応関係にあったことは特筆すべきである。
|