研究課題/領域番号 |
01604569
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂東 尚周 京都大学, 化学研究所, 教授 (70027027)
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研究分担者 |
広井 善二 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (30192719)
高野 幹夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70068138)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1989年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | マグネタイト / 単結晶薄膜 / エピタキシャル成長 / 表面物性 / 内部転換電子散乱メスバウア-スペクトル / 反応性蒸着 |
研究概要 |
前年度はサファイヤのC面を基板とした酸化鉄薄膜の成長と磁性について検討したが、本年度はMgO(100)面に成長した薄膜の研究を行なった。薄膜作製条件として基板温度、酸素圧を変化させると、Fe、Fe_3O_4、Fe_<3-x>O_4のエピタキシャル薄膜が得られた。サファイヤC面の基板ではα-Fe_2O_3が生成する領域でFe_<3-x>O_4が得られ、基板面の対象性により生成する結晶が異なることがわかった。ミスマッチが0.2%と小さく、4軸X線回折によって面内と面間の格子常数を測定すると面内では格子はMgOと同じ値でFe_3O_4のバルク値より大きく、逆に面に垂直方向では小さい値を示した。結晶は弾性歪を受け、このためスピン軸は垂直方向成分が多くなっている。1.8kまで作動する内部転換電子メスバウア効果(CEMS)用カウンタ-の作製に成功し、それを用いて基板との界面、あるいは表面5Åの厚さにのみ^<57>Fe(〜0.1/μg)を含むFe_3O_4膜について室温、液体窒素、液体ヘリウム温度で測定した結果、表面の電子状態について次のような結晶を得た。 (1)Fe_3O_4の最表面までFe^<2+>が存在し、(2)フェベ-転移が内部と同じように生じているが、(3)Fe_3O_4(100)表面のFe^<2+>は(111)表面より少なくなっている。これは結晶表面の構造の差によるもので(111)面の最表面は酸素の原子層で終り、Fe^<2+>が安定であるのに対し、(100)面は酸素と鉄の原子層で終り、吸着酸素などの影響が現われたものである。(4)表面のFeの内部磁場の値は結晶内部の値とほとんど同じであった。以上の結果は表面の電子状態が内部と同じであることを示し、これは従来いわれてきたものとはかなり異なっている。本研究の結果は結晶本来の性質とみなすことができる。微粒子の表面磁性の内部磁場がバルクよりかなり低くなるのは、結晶状態や吸着分子などによりきれいな表面でないための2次元的な原因によるものと考えている。
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