研究概要 |
1)キトサンオリゴ糖の生体適合性とキチン・キトサンの薬物徐放性基材:キトサンオリゴ糖(d.p.2-8)と低分子キトサン(MW3,000-5000)を、それぞれ兎静脈へ5日間連続注射(4.5mg/Kg body weght/day)した。兎血液中のヘキソサミン含量は正常値の1.4倍に高くなったが、注射後9日間以内で正常値に戻った。兎の異常は観察されなかった。キトサンは血液中でD-グルコサミダ-ゼにより分解されたか、吸着されたと推定される。リゾチ-ム酵素反応速度はキチンのゲル化で促進され、N-アシル基の置換度で制御できることが解った。 2)キトサンオリゴ糖のリゾチ-ム酵素誘導:兎を用いてキトサンオリゴ糖のin vivoの静脈注射および炭酸ガス培養器を使用してin vitroのキトサンや誘導体添加した兎血清リゾチ-ム酵素活性誘導を調べた。カルボキシメチルキチンを基質とした還元糖量の増加測定で、有為な誘導は見られ無かった。現在、濁度の減少で酵素誘導を調べている。 3)抗菌:キトサンはFusarium菌など病原性カビの成育阻害をした。この阻害菌種の数は高分子キトサン( >100,000)>低分子キトサン(〜3,000)>キトサンオリゴ糖(d.p.2〜8)の順であった。この阻害はキトサンの重合度と共に濃度依存性を示した。この阻害機構はキトサンの特定配置のアミノ基がカビ細胞壁表面の酸性基にイオン結合して増殖阻害していると思われる。 4)特異タンパク質吸着担体:リゾチ-ム酵素タンパク質は、キトサンのN-acetyl(C2)のみならずN-propionyl(C3),N-butyryl(C4),N-pentanoyl(C5)誘導体に酵素-基質複合体形成で吸着した。酵素タンパク質吸着量(μg/mg)は26(C2)>23(C3)>20(C4)14(天然キチン)の順であった。
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