研究課題/領域番号 |
01604587
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新海 征治 九州大学, 工学部, 教授 (20038045)
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研究分担者 |
有村 隆志 九州大学, 工学部, 助手 (30184295)
和田 冨美夫 九州大学, 工学部, 助手 (90108671)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1989年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | イオン輸送 / 液晶 / コレステロ-ル / イオン選択性 / イオンチャンネル / 高分子薄膜 / 液晶膜 |
研究概要 |
本年度は熱を刺激源とする物質輸送システムの構築に関する研究を集中的に行なった。異なる環構造をもつフクラウン化コレステロ-ルを数種類合成した、これらの化合物は高温域(7100℃)でコレステリック液晶相を示した。しかし、二種類を適当に混合することにより室温領域でもコレステリック液晶相を示す系を見い出した。 次にこれらの液晶系をポリマ-(ペルプレン)と混合して製膜することにより、高分子1液晶複合膜を作製した。複合膜系でもこれらの混合膜を用いてアルカリ金属イオンの膜透過速度を評価した。15-クラウン-5をもつコレステロ-ルと18-クラウン-6をもつコレステロ-ルを混合した複合膜系では、イオン透過速度はK^+>Na^+>Cs^+の順であった。これに対し、15-クラウン-5をもつコレステロ-ルと15-クラウン-5とコレステロ-ルの間にエチレン鎖をもつ化合物を混合した複合膜系ては、イオン透過速度はNa^+>K^+>Cs^+の順となった。この結果はクラウン環と金属イオンの相互作用を通して膜透過が起こることを支持する。温度変化より算出したイオン透過速度の活性化エネルギ-は27-48kJ mol^<-1>であった。イオンがキャリヤ-機構で透過する場合は高い活性化エネルギ-値(90-120kJ mol^<-1>)をもつのが普通である。また、クラウン化コレステロ-ルを通常のコレステロ-ルエステルと混合した系ではイオン透過は全く認められなかった。 以上の結果は、本複合膜におけるイオン透過がチャンネル機構に近いメカニズムで起こることを示す。すわわち、液晶相の構造を利用してクラウン環を配列することにより、有効なイオンの通り道を構築できることが明らかとなった。
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