研究課題/領域番号 |
01604603
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
丸山 有成 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (40013479)
|
研究分担者 |
稲辺 保 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20168412)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | フタロシアニン / 超薄膜 / MBE法 / エピタキシャル成長 / 配向性 / 多層膜 |
研究概要 |
フタロシアニン系有機物質の超薄膜のMBE法によるエピタキシャル成長に関する研究を前年度にひきつづいて行った。これまでの研究により、アルミニウムフタロシアニン(F)ポリマ-((AlPcF)_n)がアルカリハライド単結晶上でエピタキシャル成長することが明らかになっており、特にKBr上では1配向性の良質な単晶性薄膜が得られる。ところが、ルテチウムジフタロシアニン(LuPc_2)は、KBr上で2配向性(互いに37°の傾きを持つ)のエピタキシャル膜を形成する。そこで本年度は、エピタキシャル成長の制御を発展させて2成分系薄膜を作製することを試みた。まず、KBr上に(AlPcF)_nを蒸着して1配向性薄膜(〜15Å)を作製し、その上にLuPc_2を蒸着したところ、LuPc_2は(AlPcF)_n上に1配向性薄膜を形成することが明らかとなった。これは、LuPc_2が直接接している(AlPcF)_n下地によってエピタキシャル成長していることを示しており、下地によって膜の構造を制御できることが明らかになったといえる。又、この系では2種のフタロシアニンの電子状態が異るため、両者の間での電荷移動などの相互作用によりその界面に新しい電子状態が出現する可能性があり、今後の興味ある研究課題となる。 又、中性ラジカルであるリチウムフタロシアニン(LiPc)についても同様な実験を行った所、上述のエピタキシャル成長に加えて、4配向性の単斜晶系型のエピタキシャル成長が確認された。又、その生成機構についても可能なモデルを提案した。 以上の研究は主として透過型電子顕徴鏡(TEM)及び電子線析法によって行われた。今後は、さらに新しいエピタキシャル成長の可能性を探究すると共に、多層2成分膜の光学物性(非線型光学効果)、電気物性(強誘電性、2次元電導性)を研究する予定である。
|