研究課題/領域番号 |
01605010
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北原 淳 神戸大学, 文学部, 教授 (30107916)
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研究分担者 |
田坂 敏雄 大阪経済法科大学, 経済学部, 助教授 (70122190)
滝沢 秀樹 甲南大学, 経済学部, 教授 (40068135)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | NIES的発展 / 農村から都市への労働力移動 / インフォーマル・セクター / 本来的賃労働者 / 資本主義論争 / 「もうひとつの発展」 |
研究概要 |
本年度は、昨年のシンポジウムをふまえて、第三世界におけるNIES的発展の特殊性をあきらかにする検討作業を行った。第1には韓国とタイを中心として、両国の基本的統計データを収集し分析を行なうことによって、農村から都市への労働力移動および都市における労働市場、就業構造の特徴をあきらかにすることにつとめた。また第2には、両国の急速な資本主義化と社会変動に関して、当該国の研究者たちがどのように認識しているかを、資本主義論争の流れを追うことによって把握するようつとめた。今年度は両国の資本主義論争を代表する論文を翻訳し、資料として刊行する運びである。 第1の労働力移動および都市の就業構造については、かつて従属理論の論者たちが主張したような中心と対比しての周辺諸国の労働力の全般的周辺化の事態にはない。むしろ工業化によって本来的賃労働者が形成され、その比率もまた徐々に増加の傾向にある。しかし他方では、農村から都市へ移動した労働力が都市部においてインフォーマル・セクターを構成し、それを再生産する事態も続いている。この移動労働力の本来的賃労働者への移行の複雑なプロセスを今後より詳細に検討する必要がある。 第2の当該国の研究者たちの資本主義発展に関する認識は、工業化の進展とともにかつての封建遺制の残存を強調するものから資本主義の発展を容認するものへと変化しつつある。現在の外国資本・技術・市場依存型の発展に批判的な立場からは民衆的小生産者に立脚した自立的発展を展望する「もうひとつの発展」が対置されている。また自由な市場メカニズムによる発展という見解に批判的な立場からは、とくに韓国においては、国家独占資本主義の形成が主張されている。
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