研究課題/領域番号 |
01605505
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
臼井 佐知子 大東文化大学, 国際関係学部, 助教授 (70185007)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 徴州商人 / 市鎮 / 淅江商人 / 地縁的・血縁的関係 / 開放的ネットワ-クシステム / 江南デルタ / 分業システム / 郷鎮企業 |
研究概要 |
徴州商人と江南市鎮との二方面から分析を行い、以下のことが明らかになった。 1.従来、明中期から塩の専売を通して富を畜積し、全国的に活躍して徴州商人は、清代初期、とくに乾隆年間に以降、杭州、紹興を中心とした淅江商人に替わられたといわれてきた。しかし、族譜、宗譜および江蘇、淅江の各地方志等の記述の検討を通して、これら淅江商人といわれる存在の多くが、明末清初の混乱期に住居を江蘇、淅江の都市、市鎮に移し、そこに籍を得た徴州商人の系統であることが明らかになった。しかも彼等は、公けの文書中では、江蘇、淅江の出身とされながらも、祖先の地である徴州との地縁的、血縁的関係を維持していたことも明らかになった。彼等は畜積した富を基盤に官僚となり、地縁、血縁に基づいて、商業流通に関わる技術、情報を習得、交換、運用したのみならず、政治的影響力を行使し、重要な役割を果たした。こうした徴州商人の発展が、中国の政治、経済、社会において、日本等の閉鎖的集団的システムとは異なる開放的ネットワ-ク機能がするシステムを確立したといえる。このシステムは、中華人民共和国の諸改革まで基本的には継続した。 2.明中期以降の江南デルタを中心とする商工業の発展と、市鎮の発展にみられる分業システム、全国流通ネットワ-クの成立は、上記の徴州商人の発展と表裏の関係にある。江南市鎮は、19世紀半ば以降衰退したと従来されてきたが、地方志の記述から、以後も再編されつつ維持発展したことが明らかになった。このことは徴州商人が清初に、江南市鎮が19世紀半ばに衰退したという、矛盾した説明を改め、近代中国の歴史を見直すうえで重要な意味を持つものである。なお近年の経済改革の一環たる郷鎮企業は、こうした歴史的市鎮の存在を根拠とするものである一方、その行き詰まりは、徴州商人に代替するものがなかったことが一因であると考えられる。
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