研究概要 |
1.我々は、昨年度までの研究で6種類の南極産炭素質コンドライト(Y-74662(C2),Y-791198(C2),B-7904(C2),Y-793321(C2),ALH-77307(C3),Y-791717(C3))および2種類の非南極産炭素質コンドライト(Allende,Murchison)に含まれる有機高分子物質の熱分解生成物をGC/MS、またはGC/FIDにより分析し、その他の手法によって得られた情報と併せて、炭素質コンドライト中の有機高分子物質のおおまかな構造を提出した。その結果C2に分類される炭素質コンドライトは、含有する有機高分子の構造によってさらに3種類のサブグル-プに分類されることを見いだした。本年度の研究においては、C3に分類される3種類の南極産炭素質コンドライト(ALH-77003,Y-790992,Y-81020)について、それらが含有する有機高分子物質に関して、熱分解/GC/FIDによって定量的な検討を行い、C3に分類される炭素質コンドライトにもC2のそれと同じサブグル-プが存在することを明らかにし、このサブグル-プが南極隕石によって初めて明らかにされた炭素質コンドライトの二次変成と何等かの関連がある可能性を示した。 2.Y-791717及びAllendeの大量の試料について酸処理による有機高分子物質の濃縮を行い、得られた試料の炭素の性質をCP/MSの手法を用いた固体高分解能核磁気共鳴(NMR)スペクトルによって検討した。コロネンの標品のスペクトルとの比較の結果は、我々の提出した構造を支持した。そこで、コロネンより推定構造により近いサ-カムコロネンを合成しその性質を隕石中の有機高分子物質の性質と比較することを検討中である。
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