研究概要 |
本年度は、昨年度までに部分的に製作し、排気テストを繰り返してきた装置全体の組み立ておよび機械的位置の調整を完了させ、1次イオンビ-ム発生用の高電圧直流放電電源を製作した。また、質量分析部電磁石の自動掃引用電源および掃引のための鋸歯状波発生装置の機能を調べ、使用可能なことを確認した。これらの進行とともに、排気系にさらに2台のタ-ボ分子ポンプを付加し、昼夜継続して排気を行い高真空の達成をめざした。その結果、2×10^<-6>Paの到達真空度が得られた。また、1次イオン源の作動試験を行ったが、1次イオン発生時、酵素ガス導入部接地フランジと高電圧供給部との間で放電を起こすという不備が見いだされたため、安定に1次イオンを得ることができるように改良を加え、全イオン電流として1次イオン出口電極で約40μAの電流が得られた。 本装置はおおむね完成したが、その調整およびテストの間、本装置を用いて行う予定である鉄同位体比変動の検出に対応できるよう、実験室標準とすべき純鉄の同位体存在比を正確に決定する作業を、大阪大学教養部のSIMSを用いて行い、測定精度±2%程度で同位体存在比が決定できた。その結果、 ^<54>Fe=5.7238±0.0015%, ^<56>Fe=91.8545±0.0014%, ^<57>Fe=2.1470±0.0005%, ^<58>Fe=0.2746±0.0003% となった。
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