研究課題/領域番号 |
01614002
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松原 謙一 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (20037394)
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研究分担者 |
下遠野 邦忠 国立がんセンター研究所, 部長 (10000259)
藤山 秋佐夫 国立遺伝学研究所, 助教授 (60142311)
落合 孝広 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (60192530)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
23,000千円 (直接経費: 23,000千円)
1989年度: 23,000千円 (直接経費: 23,000千円)
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キーワード | B型肝炎ウイルス / 組込み / 感染細胞系 / 宿主染色体の再編成 / 致死的再編成 / 肝癌 / サザンブロット / 11番染色体の変化 |
研究概要 |
B型肝炎ウイルスは我々の確立した細胞株Huh6ー611の中で絶えず増殖をくり返し、新鮮な感染性粒子を培地中に放出している。そこでこの粒子を、やはり我々の確立した胎児肝の培養細胞に感染させて増殖を起こさせつつ、本ウイルスが感染のどの段階で組込みを起こしうるのかを検討した。その結果、組込みは感染が成立してから2,3日のうちには成立する、つまり極く早い時期に起こる反応であることが明らかになった。これは、ウイルスDNAの合成がある程度起こり始める時期でもある。 組込みDNAの構造を、2列については検討した。その結果、一列はウイルスゲノムが一部を失って、宿主中に組込まれた、極くふつうに見る形をとっているが、もう一例はウイルスDNAが仲介となって染色体が折り返し構造をとらされていることがわかった。後者の例では、細胞は染色体が異常となるために増殖できないだろうと思わせる。これまでの組込み型ウイルスDNAは全て、さかんに増殖する肝癌細胞から得られたものであることに対し、これはウイルスDNAがランダムな部位に組込みを起こす変異原であるという我々のこれまでの仮説をさらに一歩進め、組込み反応の一部は細胞にとって致死的であることを示唆するものである、。 本ウイルスの組込みあるいはそれに伴って起こる宿主の癌遺伝または増殖制御遺伝子の機能変換につながる染色体の変化を調査した。この目的で15例の肝癌につきそのゲノムDNAのサザンパターンの変化を検討したところ、2例が、第11染色体の長腕、hstやint2癌遺伝子のある付近に増幅を起こしており、2例は同じ領域付近に欠失を起こしていることが明らかになった。これらの変化が、肝癌の発生と悪性化に占める役割りを更に追究する必要性がこれにより明らかになった。
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