研究課題/領域番号 |
01614509
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木幡 陽 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30030852)
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研究分担者 |
山下 克子 神戸大学, 医学部, 助教授 (70030905)
古川 清 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10190133)
遠藤 玉夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30168827)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
1989年度: 16,000千円 (直接経費: 16,000千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / ヒイロチャワンタケレクチン / トランスフェリン / 複合型アスパラギン結合糖鎖 / CEA / 親和性カラムクロマトグラフィ- / Warren-Glick現象 / 転移 |
研究概要 |
肝癌患者と健常人の血清トランスフェリン(Tf)の糖鎮構造を比較した研究によって、肝癌のTfでは正常Tfの唯一の糖鎮である根本にフコ-スを持たない2本鎮複合型糖鎮の比率が40〜60%に減少し、かわってフコ-スを持った2本鎖、3本鎖、4本鎖複合型の糖鎮が出現して来ること、側鎮部分に正常Tfの糖鎮には存在しないX抗原構造が出現して来ることが判明した。これらの糖鎖の癌性変化を肝癌診断に応用する目的で、先ずフコ-スを含む糖鎖の出現に着目し、フコ-スに強い親和性を持つことで知られるヒイロチャワンタケレクチン(AAL)を不溶化したカラムに患者の血清を通して、溶出液中のTfを抗Tf抗体を使ったELISAでモニタ-することにより、同カラムに結合する血清Tfの比率を測定した。その結果健常人及び肝炎の結合比率は肝癌のものに較べ有意に低値で診断に使えることが判明した。問題は肝硬変の血清Tfの結合比率が高いことで、肝癌と肝硬変を判別すべく現在肝硬変血清Tfの糖鎖の構造研究を進めている。このように肝癌診断にAALが有効であることが示されたが、ヒイロチャワンタケより同レクチンを採取する方法は量的に限界がある。そこで遺伝子組み換え技術で同レクチンを採取する研究を進め、最近大腸菌を宿主にして天然のAALと同一の単純タンパク質を大量に作り出すことに成功した。このように血清常在成分の糖鎖の癌性変化を利用した肝癌診断法開発の成功は腫瘍マ-カ-領域の新しいジャンルを開いたものと言えるが、我々はこれに並行して大腸癌の診断を目指したCEA関連の糖蛋白糖鎖の比較研究をほぼ終了し、その応用の検討を開始している。又、さきに解明したWarren-Gick現象が癌の悪性度と密接に関連していることをつきとめ、癌の転移性の背景をなす癌細胞表面糖蛋白質糖鎖の癌性変化を特定すべく研究を進めている。
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