研究課題/領域番号 |
01614515
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神奈木 玲児 京都大学, 医学部, 講師 (80161389)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1989年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 腫瘍マ-カ- / SSEA-1抗原 / シアリルTn抗原 / 母核糖鎖 / I型糖鎖 / 2型糖鎖 |
研究概要 |
糖鎖性の癌抗原に対すモノクロ-ナル抗体の研究のかかえている現在の問題点を系統的に総括して将来的な展望のもとにその解決をはかることが本研究の目的である。今年度はまず、母核糖鎖抗原であるシアリルTn抗原の血清診断への応用を試みた。その結果、卵巣癌患者血清中できわめて特異的に本抗原が増加することを見出した。良性疾患での偽陽性はきわめて低く、本抗原は卵巣癌の臨床診断に有用であると考えられた。また、1型基幹糖鎖に関しては、2→3シアリルLea抗原(CA19-9)について、精紙純化した抗原を用いて、自作の抗2→3シアリルLea抗体の作成を試みた。この結果、2D3および4E2(いずれもマウスIgM)の2種のモノクロ-ナル抗体を得て、これを癌患者血清での抗原測定に臨床応用した。また新たに2→3シリアルLea抗原に対すマウス単クロン抗体として、1E7(IgM)、1B1(IgG1)、1H4(IgG2a)、およびCap44(IgM)の樹立に成功した。2型糖鎖抗原については、ヒト胎児肺におけるSSEA-1系統の抗原の発現を系統的に検索し、肺芽細胞、気管支芽細胞、細気管支芽細胞、終末芽細胞(肺胞芽細胞)などの器官形成の幹細胞にSSEA-1系統の抗原が出現することを明らかにした。同じヒト胎児の肺の器官形成におけるIおよびシアリルI抗原の局在を検討したところ、気官支芽細胞、細気官支芽細胞、終末芽細胞が分化成熟して形成される気官および細気官支の成熟上皮細胞、肺胞上皮細胞等で、SSEA-1系統の抗原が消退した際にちょうどそれと入れ換わるようにIおよびシアリルI抗原が出現するのが認められた。I系統の抗原は成熟型の細胞に陽性で、これは成人肺の扁平化した正常肺胞上皮細胞に至るまで強陽性を持続した。以上からI系抗原は、SSEA-1系抗原が未熟細胞に存在するのとに対応した成熟型の2型糖鎖の抗原としての生理的意義を有すると考えられた。
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