研究課題/領域番号 |
01614521
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三好 淳 大阪大学, 微生物病研究所・発癌遺伝子部門, 助手 (80166214)
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研究分担者 |
三輪 岳志 大阪大学, 微生物病研究所・発癌遺伝子部門, 助手 (20174229)
榎本 平 大阪大学, 微生物病研究所・発癌遺伝子部門, 助手 (00127622)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1989年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | アクチン遺伝子 / CArG box / 癌細胞の転移能 / がん遺伝子 / 小児白血病 / SHOK細胞 / トランスフォ-メ-ション |
研究概要 |
本研究では、アクチン遺伝子の転写制御機構、細胞運動および形態に関する細胞変異株の解析、新しいがん遺伝子検索細胞の開発と応用の3つの研究課題を中心に、がん細胞の表現形質発現の分子機構を解析した。 ヒトのアクチン遺伝子群のpromoter部位には、遺伝子発現調節に関与するCC(ATrich)_6GGのCArG box配列が存在するが、残されていた胃型平滑筋γ-アクチン遺伝子の解析により、すべてのアクチン遺伝子に普遍的にこの配列が存在することを明らかにした。また、マウス筋原細胞より、CArG box配列に結合する核蛋白の遺伝子をクロ-ニングした。 マウスBALB/c3T3細胞由来のTPAによる形態変化の感受性変異株にがん遺伝子を導入し、ヌ-ドマウスでの肺への転移能を検討した結果、TPAに対する細胞形態の変化roundingを示さないBALB/c変異株TR_4は、y-srcによって転移能が上昇し、細胞融合の実験よりその表現形質は劣性であることを見いだした。 がん遺伝子検索用SHOK細胞を用いて、小児白血病15症例の検索を行ない、2症例に変異N-ras遺伝子(Gly-13(GGT)→Asp(GAT),Gly-12(GGT)→Ser(AGT))を見いだした。後者ではさらに、治療後の再発時に、Gly-12(GGT)→Asp(GAT)の新たな変異が判明し、N-ras遺伝子の突然変異が、より悪性度の高い白血病細胞へのprogression過程に関与する可能性が示唆された。また、SHOK細胞を用いて分離された新しいがん遺伝子cotのcDNAをレトロウイルスのLTRを用いて発現させると、SHOKおよびNIH3T3細胞で同等の形質転換能を示すのに対し、genomic DNA固有のpromoterおよびcot前癌遺伝子のpromoterから発現させた場合、NIH3T3細胞よりSHOK細胞に対して約100倍高い形質転換能を示すことが分かった。この結果は、ヒトのcot遺伝子がNIH3T3細胞では発現し難い内在的な性質を有するために、今まで検出されなかった可能性を示唆している。
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