研究課題/領域番号 |
01614534
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
吉田 光昭 (財)癌研究会, 癌研究所・ウイルス腫瘍部, 部長 (80012607)
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研究分担者 |
伊藤 道恭 (財)癌研究会, 癌研究所・ウイルス腫瘍部, 日本学術振興会特別研
渡辺 俊樹 (財)癌研究会, 癌研究所・ウイルス腫瘍部, 研究員 (30182934)
井上 純一郎 (財)癌研究会, 癌研究所・ウイルス腫瘍部, 研究員 (70176428)
藤沢 順一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40181341)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
26,000千円 (直接経費: 26,000千円)
1989年度: 26,000千円 (直接経費: 26,000千円)
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キーワード | レトロウイルス / HTLV-1 / ATL / 転写制御因子 / tax / RNAプロセシング / rex / エンハンサ-結合蛋白 |
研究概要 |
ヒト癌について、癌化のメカニズムを研究することは癌の治療や予防を考える上で重要なことである。この立場からATLの原因ウイルスであるヒトレトロウイルス(HTLV-1)について研究を進めて来た。今年度はHTLV-1の遺伝子で白血病発症にも関与するとされるtaxとrexについてその作用機構を研究した。1.taxは分子量4万の蛋白コ-ドしウイルスのLTRや細胞の1L-2Rα鎖遺伝子の転写を活性化しそれらの発現を増大させる。これらの活性化には各々特異なエンハンサ-が必要であるが、tax蛋白はエンハンサ-に結合しない。このtaxによる転写活性化機構を理解する目的で、HTLV-1感染細胞よりcDNAライブラリ-を作製し、LTRのエンハンサ-に結合する蛋白のcDNAクロ-ンを分離した。得られた11個のクロ-ンは4種に分類され1種は既に報告のあるCREBであり残りの3種は新規のクロ-ンであった。いづれのクロ-ンも共通の構造としてロイシンジッパ-構造とそれに隣合う塩基性ドメインを持っており、LTR中の21塩基エンハンサ-に結合した。これらの特徴的構造はFOS,JUN等の-群の転写調節因子に保存されており、同種あるいは異種2量体の形成に関与しエンハンサ-DNAに結合する役割を果すことが知られている。従ってここで得られた21塩基結合蛋白も同様に作用するものと推定される。これらがtaxによる活性化にどのように関与するかを検討中である。2.第2の調節因子rexは分子量2万7千の蛋白をコ-ドし、RNA上の特異配列RXEに依存して非スプライス型mRNA,つまりgag及びenu mRNAの発現を可能にする。RXEは3′LTRから転写されるU3とRの配列より成るが、このRXEは安定な2次構造を形成することを示し、またこの2次構造がrexの調節に重要な意味を持つことを明らかにした。
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