研究課題/領域番号 |
01618004
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
木村 資生 国立遺伝学研究所, 名誉教授 (20000226)
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研究分担者 |
高畑 尚之 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助教授 (30124217)
石和 貞男 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017205)
長谷川 政美 統計数理研究所, 予測制御研究系, 教授 (60011657)
武藤 あきら 名古屋大学, 理学部, 助教授 (80034635)
向井 輝美 九州大学, 理学部, 教授 (30091242)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1989年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
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キーワード | 集団遺伝学 / 分子進化学 / 分子生物学 / 分子進化の中立説 / 生物進化 / 遺伝情報 |
研究概要 |
本重点領域研究は、高等生物のゲノム内に見出された多様な進化要因や遺伝因子の進化的意義を解明することを目標に、新しい集団遺伝学の発展にむけ研究を推進してきた。こうした集団遺伝学の展開には、DNAレベルで急速に蓄積しつつある遺伝情報やそれに関連した分子遺伝学の研究が必要となるため、これらの分野にもそれぞれ研究班をもうけ研究を進めて来た。更に各班の有機的連携を保つため総括班を設置し、研究集会や公開シンポジウムを組織すると共に、欧米での該当分野における研究情報の収集、海外交流の推進、各研究班の進行状況の把握などにも努力した。その結果得られた成果は、次のように要約できる。第1に高等生物のゲノム進化に関与しているDNAレベルの変異生成機構の全貌をほぼ明らかにすることができた。第2にこのような機構により生成された変異が集団中に蓄積し、DNAレベルの進化に寄与するものの多くが、自然選択に関し中立であり、その進化の原動力は遺伝的浮動であることが明らかになった。つまり木村の分子進化の中立説が、単に有用な仮説であるだけでなく、それを支持する多くのデ-タを得ることができた。第3に変異生成機構とその進化機構に基づき、分子の進化を基礎として生物進化の歴史を復元できる可能性が開けてきた。これは同時に、分子進化と表現型進化の関係を今後更に研究していく上で、1つの方向を示したものともいえる。来年度の成果とりまとめのシンポジウムでは、この観点に立って生物進化の諸問題を考える。成果とりまとめに関する他の計画は、特にすぐれた20の研究結果を英文総説書として刊行することである。今年中に刊行を予定しているので、編集作業は今年度8月から行っている。 進化の研究は実用的なものではないが、生物特に人類の由来を知ることは、我々の将来を考える上でも貴重な知識を与えることになろう。
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