研究課題/領域番号 |
01619503
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北 徹 京都大学, 医学部, 教授 (60161460)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 粥状動脈硬化 / 酸化LDL / マクロファ-ジ / 泡沫細胞 / プロブコ-ル |
研究概要 |
狭心症、心筋梗塞症など、虚血性心疾患の根本病因である粥状動脈硬化の発症と血中に存在する低比重リポ蛋白(LDL)の濃度との間には密接な関連があることがよく知られた事実である。ことに粥状動脈硬化初期病巣の中心をなす泡沫細胞形成には、LDLの果たす役割は大きいと考えられており、次々にin vitroで実証されてきている。近年、我々の研究室を含めて世界的にも酸化LDL(すなわちLDLが酸化を受けて生じるわけであるが)が、泡沫細胞の起源であるマクロファ-ジ(Mφ)を泡沫化することが明らかにされてきた。しかもMφへの酸化LDLの取り込みには、酸化LDLに特異的な受容体が存在することを我々は昨年見い出し報告してきた。そこで、in vivoにおける酸化LDLの存在について、我々は遺伝的に高LDL血症をきたし、しかも粥状動脈硬化症を引き起こしてくる家族性高コレステロ-ル血症モデル動物WHHLウサギを用いて明らかにするべく実験を進めてきた。抗酸化剤であるプロブコ-ルを用いて、WHHLウサギに病変の存在しない2ケ月令から投与し続けると、短期(6ケ月間)ばかりでなく長期(17ケ月)にも病変の進行を抑制することを見い出した。具体的には、薬剤非投与19ケ月令の大動脈における病変占有面積は約93%であるのに対し、投与群では約23%であった。さらに、すでに病変(約54%)の存在する8ケ月令にプロブコ-ルを投与し始め、6ケ月後にその率を測定したところ約38%であった。非投与群は約83%であった。この事実は、一旦病変が成立していても退縮しうることを示唆し興味深い。さらに抗酸化LDL抗体で病変部を検討することにより、酸化LDLが病変部に存在することを確認した。このことから 、酸化LDLが生体内に存在し、しかも抗酸化剤によりその進展抑制、さらには退縮が可能であることが明らかになってきた。さらに病変部の細胞成分の変化についても検討を進めている。
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