研究概要 |
燃焼過程において生成するNOの関与する反応を解明するために、室温から3000Kに至る広い温度領域にわたって炭化水素ラジカル、N原子の反応の速度測定を行い、反応機構について検討した。 1.衝撃波管とレ-ザ光分解法を結合させた新らしい方法を開発し、これを用いて衝撃波背後でO,N原子をパルス的に生成する事ができた。この方法により従来測定が困難であった高温のラジカル反応速度の直接測定が可能となり、O,N原子濃度を真空紫外吸収分光法により測定して2N+NO→N_2+O及びN+H_2→NH+Hの反応速度定数を決定した。 2.衝撃波管とマルチチヤンネル分光システム、赤外-可視分光法を組み合わせた装置によりアセチレン及びCH,CH_2ラジカルとNO系におけるC_2,CH,CN等の電子励起種の生成機構を検討し、CH+NOの反応でCNの電子励起種が生成する事を見い出した。CH,CH_2ラジカルは各々ブロモフォルム、ケランの熱分解により生成させた。 3.室温においてレ-ザ光分解-レ-ザ誘起蛍光法を用いてCHとNOの反応速度の測定、機構の検討を行なった。CH_3BrをArFエキシマレ-ザにより光分解してCHラジカルを発生させ、CH,NH(X),NH(a)OH,CNのレ-ザ誘起蛍光の時間変化を測定した。この結果、CH+NOの反応速度定数が求められ、NHがこの反応で生成する事及び一重項のNHは三重項NHよりNOとの反応が遅い事を明らかにした。 4.光イオン化質量分析法と流通系反応装置を用いてアセトアルデヒド及びアセチルラジカルとO,O_2,NOの反応速度を決定し、その反応機構を検討した。特にアセチルラジカル及び他のアルキルラジカルとO原子の反応速度はそのイオン化ポテンシャルに相関する事を見い出した。
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