研究課題/領域番号 |
01628004
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
戸田 芙三夫 愛媛大学, 工学部, 教授 (50036232)
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研究分担者 |
樋口 泰一 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (40046868)
藤原 隆二 島根大学, 理学部, 教授 (10028847)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1989年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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キーワード | 固相反応 / 包接化合物 / 光学活性ホスト / 不斉選択的反応 / 選択的固相反応 / 結晶内反応 |
研究概要 |
分子が規則的に配列している結晶内で反応を起こさせ、反応を規則的、立体選択的に行わせるのが目的であり、昨年度は結晶中の光反応を不斉選択的に行わせることを行い、初期の目的を達成した。本年度は、この結晶内での反応を通常の有機化学反応に発展させて、数多くの選択的固相有機化学反応を実現させることに成功した。溶液中で行うと異性体の混合物を与えるピナコール転移反応を固相で行うと選択的に反応が進行し、単一の生成物が得られた。この際、ピナコールをホスト化合物に取り込ませた包接化合物を固相で酸と反応させると、更に良い選択性が発現した。ケトンの固相還元も円滑に進行した。この際、ケトンを光学活性ホストに包接させておき、固相でNaBH_4又はボランーエチレンジアミン錯体と接触させると不斉選択的還元が起こり、光学活性アルコールが得られた。フェノール類のFeCl_3による一電子還元的二量化反応は通常含水アルコール中で行われるが、この反応を固相で行うと、極めて能率良く反応が進行し、純度の高い生成物が得られた。固相反応はグリニヤール反応にも適用できることが判明し、且つ固相グリニヤール反応は付加生成物よりも還元生成物を多く与えると言う選択性があることがわかった。ベンジル酸転移反応も固相で能率良く進行した。興味深いことに、溶液中で転移反応を起こすLiOH、Sr(OH)_2は固相では転移を起こさないのに対して、溶液中では能率良い転移反応を起こさないCsOH、RbOH及びBa(OH)_2が固相では能率良い転移を起こすことがわかった。その他、マイケル付加、アルドール縮合、ロビンソン縮環等の重要な炭素-炭素結合生成反応を光学活性ホストとの包接化合物中固相で行うと、不斉選択的に反応が進行することが判明した。最も興味深い発見は、光学活性ホストが固相で酵素的に働く事実である。例えば、光学活性ホスト存在下でのβ-ヨノンオキシドの固相動力学的分割に成功した。
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