研究課題/領域番号 |
01629005
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
工藤 清 福井大学, 工学部, 助教授 (60020210)
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研究分担者 |
中村 英一 福井県立短期大学, 教授 (30141378)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
400千円 (直接経費: 400千円)
1989年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 初期宇宙 / ハドロン物質 / コーク・グルーオンプラズマ / 相転移 / 多重発生 / コンボルーション形式 / 粒子生成シミュレーション / 擬ラピディティー分布 |
研究概要 |
今日の宇宙論によれば、はじめに宇宙のビッグバンが起こり、その時高温高密度の状態が生じたと考えられている。これは素粒子論の立場の立つと、ハドロン物質に転移するまえのコーク・グルーオンプラズマ状態と見なすことができる。このようなコーク物質からハドロン物質への相転移を探る事によって、宇宙の創世時における物質形成のメカニズムを解明する手掛かりが得られる事になると思われる。本研究では、粒子生成における相転移現象と物性論で知られている相転移との類似性に着目し、コーク物質のシグナルを見出す試みをなした。 本年度我々の行ってきたことは以下の通りである。1.コンボルーション機構の確立。(1)高エネルギーハドロン生成において見出したコンボルーション機構を、熱統計力学的フリー・エネルギーに対するコンボルーション機構に見直して物性論との対応関係を明白にした。(2)物性論との比較により転移温度近傍におけるハドロン物質の振舞いを論じた。(3)非閉じ込め相におけるコーク物質の証拠が現在の加速器実験においてすでに表れているのではないかという予言を行った。2.コーク物質の存在を熱統計力学的クラスターとして捉える試みを行った。(1)我々の提唱してきた3体クラスター模型を用いて多重発生現象のシミュレーションを行った。(2)種々の運動量分布、殊に、粒子数毎の擬ラピディティー分布及び擬ラピディティー毎の粒子数分布がCERN SPSコライダーによる実験値をよく再現していることを確かめた。 今後の目標は、コンボルーション機構を通して転移点近傍における重粒子生成の振舞いを調べ、そのシグナルを見出すことにある。このことは、宇宙初期におけるバリオン数非対称生成メカニズムの解明につながるものと思われる。
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