研究概要 |
1eV以上の高エネルギ-・ラマン散乱により銅を含む酸化物高温超伝導体(La_<2-x>SrxCuO_4,YBa_2Cu_3O_<7-y>,Bi_2Sr_2Ca_<1-x>YxCu_2O_<8+y>,Nd_<2-x>CexCuO_4,Pr_<2-x>CexCuO_4),La_2CuO_4と同じ構造を持つLa_2NiO_4,La_2CoO_4及び銅を含まない酸化物超伝導体(BaPb_<1-x>BixO_3,BaxK_<1-x>BixO_3)のスピン交換相互作用、スピン-キャリア-相互作用、フォノン-電子相互作用を調べた。銅を含む高温超伝導体の反強磁性絶縁体相ではマグノン散乱の異常(Bigスペクトルにおける4J(Jは2-スピン交換相互作用)付近の散乱ピ-クの存在、本来禁止されているAig散乱強度がBig散乱と同程度の大きさを持つこと)から4-スピン交換相互作用が大きいことを示した。この相互作用はハイゼンベルグ・モデルには含まれない相互作用で、銅と酸素の電子レベルが近いために大きくなり、反強磁性スピン秩序にフラストレイションを与える効果を持つ。そこにキャリア-をド-プするとAigスペクトルは高エネルギ-まで平坦な散乱を示し、マ-ジナル・フェルミ液体のようなふるまいを見せる。Bigスペクトルはド-プ量の増加に応じてピ-クが低エネルギ-側に移行し、キャリア-とスピンの相互作用によるものと考えられる。電子ド-プ系のNd_<2-x>CexCuO_4ではCeと酸素還元は異る作用をすることを見つけた。Ba_<1-x>BixO_3やBaxK_<1-x>BiO_3では電子をド-プしていくと超伝導金属から絶縁体に変化する。その時の格子振動の詳細な解析から局在バイポ-ラロンと自由に動ける遍歴ラ-ジ-ポ-ラロンが共在し、その間の相互作用により超伝導転移温度が高められている可能性を示した。両者のソフト・モ-ドのエネルギ-の相違から、BaxK_<1-x>BiO_3ではラ-ジ・ポ-ラロンの波動関数の広がりが大きく、高濃度ド-ピング領域まで金属的であるため高い転換温度を実現している。
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