研究概要 |
プラズマ反応過程の解析における基本的課題は、一次反応過程を支配する電子密度および電子エネルギ-分布を決定すること、および反応によって生成した原子・分子の絶対数密度とその空間分布を決定することである。本研究の目的は、He-Ar-SiH4およびHe-Ar気体中の定常および過渡的グロ-放電プラズマを対象に、(1)プラズマの発光スペクトル線の絶対強度測定によって、電子密度と電子エネルギ-分布を決定すること、(2)レ-ザ-誘起蛍光(LIF)法によって、非発光種の絶対数密度とその空間分布を決定することである。 放電装置は真空容器中の一対の電極で構成され、電流は0.2-2.0mAである。負グロ-領域の発光スペクトル線の絶対強度を、タングステンリボン・ランプを標準光源として測定した。測定したスペクトル線は、He(I)501.6nm,He(II)468.6nm,Ar(I)750.3nm,Ar(II)488.0nm,Hβ486.1nm,およびSi(I)288.2nmの各線である。 LIF法による非発光原子・分子の測定には、窒素レ-ザ-励起の色素レ-ザ-を光源として用いた。前年度までのSi原子およびSiH分子に加えて、本年度は稀ガス準安定原子の絶対数密度の測定を行った。 発光スペクトル線の絶対強度から電子エネルギ-分布を決定した。この電子エネルギ-分布と、既知の電子衝突励起断面積ならびに消光速度係数から、He(I)準安定原子数密度を計算で求めると、3.6×10^8cm^<-3>となる。一方LIF法により、He(I)501.6nm線(3p^1P→2s^1S遷移)の蛍光を光子計数法で測定すると、準安定原子数密度は(1.8±0.5)×10^8cm^<-3>となり、両者はほぼ一致する。この結果から、本研究の電子エネルギ-分布および非発光種原子数密度の測定法の妥当性が立証された。本測定法は非平衡プラズマにも適用可能であり、反応性プラズマの分光計測法として有効である。
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