アクチナイド化合物について、5d→5f励起にともなう多重項の測定を既設の反射率計を用いて行い、5f電子状態についての知見を得ることが本研究の主たる目的である。 本年度は、既設の反射率計の真空系の改良、エレクトロニクスの整備を行うとともに、円偏光放射光を用いた磁気円二色性の測定を直入射反射法で行うための開発研究をも行った。まず、試料に磁場をかけるために永久磁石を用いた磁場変調器を本研究とは独立の予算で製作したが、実際に、これを直入射反射率計にとりつけて動作させるためには、各種のモニタ-用のビュ-イングポ-トが必要であり、またそのうち、入射光のモニタ-用には平面精度の高いサファイア製のものが必要である。本年度はそれらを実際に既設の直入射率計にマウントして、分光された放射光および0次可視光を用いて、光軸ずれの有無をチェックした。 また、試料薄膜を真空槽内で作成するたには、各種のシャッタ-や試料位置変更のためのメカニズム、永久磁石型磁場変調器の退避の機構が必要である。それらは真空外から真空内へ回転を伝達する回転導入機構を必要とするが、実際にメカニズムをアセンブルした状態で各種の運動テストを行った。 以上の準備をした上で実際に放射光を用いた直入射反率の測定は典型的強磁性体であるNiを試料として行った。 なお、アクチナイド化合物については、阪大基礎工学部の菅滋正教授がUPS、BISなどの測定を行っているので、阪大基礎工学部において、同教授と検討を行った。
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