研究概要 |
チトクロ-ムP-450c遺伝子はメチルコラントレンで誘導発現される。その誘導発現はDNA上のエンハンサ-およびプロモ-タ-領域に存る特量塩基配列とそれらを認識して特量的に結合する転写因子により調節されている。更に、その誘導発現はアデノウイルスEIA遺伝子産物により抑制されることを我々は見つけた(Eur.J.Biochem,181,539-544,1989)。本研究の目的はそれら種々の転写調節に関与している転写因子を同定、分離し、それら因子の相互作用による転写調節機構を解明することにある。無細胞転写系を用いて、チトクロ-ムP-450c遺伝子上の-44〜-53領域が転写活性に必要であることを示し、それに結合する転写因子を同定した。我々はDNAの特異塩基配列に結合する転写因子を迅速に効率良く分離、精製する手段として、DNAアフィニティ・ラテックス粒子を独自に開発し、その粒子を用いて転写因子の一つであるE4TF3を精製することに成功した(Nucleic Acids Res.17,6229-6240,1989)。この3法を用いて、チトクロ-ムP-450c遺伝子のエンハンサ-領域に有る特異塩基配列(XRE)に結合する転写因子を精製するためにXREの塩基配列を人工合成し、そのDNAをラテックス粒子に結合した。今後、このDNAアフィニティ-・ラテックス粒子を用いてXREに結合する転写因子を精製すると共に、EIA蛋白質による転写抑制機構を明らかにするつもりでいる。
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