研究概要 |
1.昭和63年度に引続き、ウシ副腎皮質adrenoxin,P-450(SCC)の局在を種々の免疫電子顕微鏡法を用いて検討した。(1)post-embedding法:(a)全ての実質細胞ミトコンドリアは両酵素を含んでおり、pre-embedding法により報告されている不均一性は認められなかった。(b)球状帯、束状帯の外層部のミトコンドリア内に頻繁に認められる丸く電子密度の高い顆粒中にもこれらの酵素は存在した。(c)ミトコンドリア単位断面積当りの酵素含有量は、球状帯において束・網状帯よりも低く、adrenodoxinの場合、定量免疫電子顕微鏡法により球状帯において束状帯の2〜3分の1であった。(2)immuno-cryoultramicrotomy:検出にprotein A-gold,streptavidin-peroxidaseのどちらを用いても実質細胞の全てのミトコンドリアが両酵素を含んでおり、その存在密度はミトコンドリア間で均一であった。(3)pre-embedding法:ミトコンドリア間で酵素含有量の不均一性が存在するが、クリオスタット切片表面のミトコンドリアは切片内部のミトコンドリアに比べて約2倍染まる割合が高かった、(1,2,3)の結果は、同一細胞内ミトコンドリア間でP-450関連酵素の含有量は均一であることを支持していた。 2.動物実験が可能なラットにおいてadrenodoxinとP-450(SCC)の局在を検討し、ウシと同様な結果を得た。定量免疫電子顕微鏡法で副腎皮質各層のミトコンドリア内酵素含有密度を比較すると、(1)adrenodoxinの含有密度は、束状帯ミトコンドリアにおいて球状帯ミトコンドリアの約3倍、束状帯と網状帯のミトコンドリアでは、ほぼ同程度の密度で存在した。(2)P-450(SCC)の含有密度は、束状帯ミトコンドリアにおいて球状帯ミトコンドリアの2〜3倍の高密度で存在することが明らかになった。今後は、ACTH等のホルモンによるP-450関連酵素のミトコンドリア内含有密度の変化、更にIn situ hybridization法によりmRNAの局在も調べたい。
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