研究概要 |
ビトロネクチンは、1983年に発見された血漿中の糖タンパク質で「血液凝固」「細胞接着」「補体作用」に機能している。本研究では、ビトロネクチンの構造と機能の研究を通し、ビトロネクチン分子異常と疾患との関係を解明することが目的である。ビトロネクチン分子の異常は、世界的にまだ全く報告されていない。 1.血漿中のヘパリン結合型ビトロネクチン ビトロネクチンのヘパリン結合性は人工産物といわれていたが、注意深い実験により、内在性のヘパリン結合型ビトロネクチンの存在を証明した。疾患との関係は現在検討中である。 2.ビトロネクチン機能異常の微量測定法の開発 ヒト血清0.1mlを使用し、ビトロネクチンの機能異常を迅速大量に測定する方法の開発に一部成功した。現在、(1)血清中ビトロネクチンの濃度測定法、(2)ビトロネクチンの血液型決定法、(3)M2抗体法による細胞伸展活性測定法の3つが確立した。さらに、(4)ヘパリン結合活性測定法の尿素活性化法の開発と、(5)コラ-ゲン結合活性測定法のヘパリン活性化法の開発の見通しが立った。 3.ビトロネクチンの遺伝子診断法 ビトロネクチン血液型を決める因子として遺伝子多型が有力である。ビトロネクチンのI,II,III型をもつヒトの血液から白血球DNAを精製し、合成DNAを用いたPCR法にて高感度DNA診断をした。
|