研究課題/領域番号 |
01638518
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
金子 章道 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 文部教官教授 (00051491)
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研究分担者 |
金田 誠 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (30214480)
大塚 輝彌 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10051814)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 網膜 / 双極細胞 / マウス / カルシウム電流 / シナプス伝達 / γアミノ酪酸 / グリシン |
研究概要 |
網膜神経節細胞の多くは一過性の光応答を示し、「動き」の検出や「方向選択性」応答の成立のために必要な条件を備えている。しかし、双極細胞の光応答は持続的であり、応答のダイナミックスが双極細胞と神経節細胞間のシナプスにおいて変換されなければならない。本研究ではマウス網膜から双極細胞を単離し、電圧固定法によってそのカルシウム電流を解析したところ、双極細胞は一過性の性質を持つT型のカルシウム電流を持っていることが明らかになった。このカルシウム電流は-55mVよりもプラス側で活性化され、-30mVで最大値に達した。不活性化は早く、-26mVでの不活性化の時定数は約100msecであった。不活性化した電流は膜電位を-96mVに保持すると、約1秒で完全に回復した。シヒドロピリジン化合物(ニフェディピンやBayk 8644)はこの電流に対し抑制効果も増強効果も示さなかった。電流は細胞体部だけでなく、シナプス終末部にもみられたので、このカルシウム電流が双極細胞からの伝達物質の放出を制御していることが考えられる。カルシウム電流が一過性の性質を持っていることは伝達物質も一過性である可能性を示しており、それによって引き起こされる神経節細胞の光応答も一過性のものになることを示唆している。事実,マウス神経節細胞は光刺激のONとOFFに著明な一過性の光応答をしめすことが知られている。 また、双極細胞はGABA、グリシンに対して高い感受性を示した。感受性は軸索終末部で最も高く、GABA、グリシンは双極細胞膜に塩素イオンに対する透過性を増大させ、抑制性シナプス後電位を発生させた。これらの抑制性伝達物質はアマクリン細胞に由来し、受容野の周辺抑制に関与しているものと考えられる。
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