研究課題/領域番号 |
01639510
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
黒田 行昭 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系・形質遺伝研究部門, 教授 (40000228)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1989年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | キイロショウジョウバエ / 培養細胞 / 遺伝子導入 / 形質発現 / 上皮細胞の成熟分化 / 伴性劣性致死 / ピリミジン合成経路 / カ-バミルリン酸 |
研究概要 |
キイロショウジョウバエの伴性劣性突然変異は、睡腺染色体上の特定染色体にある特定遺伝子のバンドの欠損によって、胚発生の特定の時期に、特定の細胞や組織に形質分化や生理機能の障害が現れ、それによって個体死となるものが多い。本研究はこのようなキイロショウジョウバエの胚細胞の初代培養を使用して、遺伝子導入などの手法により、顕徴鏡下で細胞レベルでの検索が可能な遺伝子導入をして、細胞内に取り込まれた遺伝子の染色体への組込みや形質発現までの諸過程を分子レベルで解析するための系を確立することを目的としている。これまでの研究で、dor(deep orange:1F1-2A2)では、筋肉細胞の合胞体形成の障害が、野生型胚の抽出タンパク質によって回復され、dorの卵子が野生型の精子によって受精され、受精後5時間以降の胚抽出液が有効であり嚢胚形成期以降に精子の野生型DNAがタンパク質にまで翻訳され活性を発現していることが分った。本年度はさらにr(rudimentary:1-54.5)の致死胚の初代培養細胞を用いて、核酸合成経路にある種々の中間代謝物を各種濃度で培養液に添加して、rの胚細胞が示す上皮細胞のキチン質形成や成熟分化の欠損が、これら、添加した物質の細胞内への取込みによってどの程度回復されるかをしらべた。とくにピリミジン合成経路の代謝物質のなかでは、カ-バミルリン酸が10^<-3>Mの濃度で29%、カ-バミルアスパラギン酸が2.5×10^<-4>Mの濃度で60%、ジヒドロオロチン酸が2.5×10^<-4>M濃度で100%、さらにオロチン酸が2.5×10^<-4>Mの濃度で100%、rの胚細胞の初代培養で上皮細胞の成熟分化が回復されることが分った。このことはr致死胚の細胞では、ピリミジン合成径路のカ-バミルリン酸合成の前の段階で酵素の欠損があり、カ-バミルリン酸以降の代謝生成物の添加によって、正常の分化機能を回復することが明らかになった。
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