研究課題/領域番号 |
01639513
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
鍋島 洋一 国立精神・神経センター, 神経研究所・遺伝子工学, 部長 (60108024)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 中枢神経系 / ショウジョウバエ / P-element / エンハンサ-トラップ法 |
研究概要 |
ショウジョウバエの脳、中枢神経系を分子遺伝学的に解析するためにエンハンサ-トラップ法という新しい手法を用い、ショウジョウバエの不特定かつ多数の遺伝子発現パタ-ンを容易に検出するシステムを確立した。 (1)マ-カ-遺伝子としてのlacZ遺伝子をトランスポゾンの1種であるp因子に組込んだ複合DNA(lacZ-P因子)が染色体上のランダムな位置にひとつ挿入した系統を1100株作製した。さらにその挿入が存在する染色体を遺伝的に決定し、ほぼ全てを安定な系統として確立した。また、そのうち15%以上の株が挿入に関するホモ接合体で致死性となることが確認され、このシステムが遺伝子機能を調べる上で強力な方法であることが明らかとなった。 (2)得られた1100株のうち、現在までに300株について成虫脳におけるlac又遺伝子の発現パタ-ンをlacZ産物のβ-ガラクトシダ-ゼ活性による染色で調べたところ、半数以上に何らかの発現が認められた。その中には、視葉、特定の神経軸索や脳内構造が選択的に染色される株もあり、特定の神経細胞(集団)の発生を調べる上で意義が高い。 (3)lacZ-P因子の挿入による致死変異株の中には、その胚において腹部中枢神経節内の軸索の集合状態に異状が認められる株や、本来、表皮細胞となる細胞が神経細胞になってしまう株が存在することが確かめられた。これらのことはlacZ-P因子が挿入された位置近傍の遺伝子が神経系形成に関与することを示唆しており、神経系の発生を分子生物学的に解明する上で道を開くものである。 以上、今年度は脳、中枢神経系を遺伝子レベルで解明するための基盤を確立した。現在、上記の手法によって特定された遺伝子のクロ-ニングを行っている。
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