研究課題/領域番号 |
01640511
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
伊勢村 護 静岡県立大学, 食品栄養科学科, 教授 (40028197)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 細胞外マトリックス / 胎盤 / 細胞制御 / フィブロネクチン / フィブロネクチンレセプタ- / プロテオグリカン / 糖タンパク質 / 細胞接着 |
研究概要 |
ヒト胎盤の機構主体といえる胎盤絨毛の基本構造は、胎盤成熱過程に伴って変化する。細胞外マトリックス成分で、細胞接着因子の1つであるフィブロネクチンに注目して本研究を進めた結果、次のようなことが明らかになった。フィブロネクチンレセプタ-に含まれるアミノ酸配列をもつ合成ペプチドに対する抗体を作製し、胎盤組織における分布を調べた結果、フィブロネクチンの分布とよく一致していたので、胎盤絨毛上皮細胞のフィブロネクチンへの接着には細胞上のフィブロネクチンレセプタ-が関与していると考えられた。ヒト羊膜上皮細胞(FL細胞)を用いて細胞外マトリックスの作用を調べた結果、培養FL細胞はフィブロネクチン表面によく接着したが、この接着がArg-Gly-Aspを含むヘキサペプチドで阻害され、また抗フィブロネクチンレセプタ-ペプチド抗体によって接着が阻害されたことから、フィブロネクチンレセプタ-が接着に関与していると考えられた。培養3時間では、細胞の伸展はあまり見られなかったが、フィブロネクチン表面に予め胎盤より分離・精製したプロテオグリカンを結合させておくと、著しい細胞伸展が認められた。これらの結果は、細胞の接着と伸展は区別されるものであり、細胞外マトリックスにより細胞活動が制御されることを示している。胎盤フィブロネクチンの糖鎖構造を決定したところ、分岐の多い複雑な構造の存在が明らかになり、血漿のものとは全く異なることがわかった。こうした結果は従来の説と異なり、胎盤においては、血液フィブロネクチンの組織への寄与は殆んどなく、組織独自に合成、保持され、機能していることを示唆している。糖鎖はゼラチンへの結合力を弱めることも確かめられたので、胎盤でのフィブロネクチンと他の細胞外マトリックス成分の相互作用の調節に糖鎖が観か余していると考えられた。以上のような新知見が得られ、当初の研究計画をほぼ達成することができた。
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