研究課題/領域番号 |
01641508
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宇野 功 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (60114401)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 酵母 / cAMP / cAMP依存性プロティンキナ-ゼ / 蛋白質のりん酸化 |
研究概要 |
酵母における細胞膜を介したシグナル伝達機構であるcAMPカスケ-ドによる細胞機能の制御を明らかにすることを目的として研究を行った。酵母細胞では哺乳動物と同様にcAMPだけではなくイノシト-ルりん脂質カスケ-ドも存在することも明らかにされつつある。さて細胞内ではcAMPはcAMP依存性プロテインキナ-ゼを活性化し、その機能をはたしているものと考えられている。このキナ-ゼは各種の蛋白質をりん酸化し、その機能を調節しているものと考えられ、りん酸化される蛋白質を見出すことを試みた。その結果イノシト-ルりん脂質カスケ-ドを構成する酵素群のなかにcAMP依存性にもその活性が制御されているものを見出すことができた。ホスファチジルイノシト-ル4,5二りん酸(PIP_2)はホスファチジルイノシト-ル(PI)から遂次PおよびPIPキナ-ゼによってりん酸化され、合成される。このPIP_2はホスホリパ-ゼCによって分解され、IP_3とDGになる。IP_3はカルシウムイオンの動員を行い、DGはプロテインキナ-ゼCを活性化し、多種の蛋白質をりん酸化するものと考えられている。cAMP合成が温度感受性になった株ではPIP、およびPIP_2の合成速度が温度感受性になっていること、cAMPを培地に添加することによって回復することなどが明らかとなった。さらに細胞膜を調製し、PIおよびPIPキナ-ゼ活性を測定した。測定前にATPおよびcAMPとプレインキュベ-トしておくと活性が約3倍上昇することがわかった。そしてPIキナ-ゼを部分的に精製したところ、その途中でこの効果がみられなくなったことから、酵素自身がりん酸化されるのではないことが示唆された。このようにcAMPカスケ-ドがPIP_2合成を正に制御していることが明らかとなった。
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