研究課題/領域番号 |
01641509
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大隅 良典 東京大学, 教養学部, 助教授 (30114416)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 酵母 / αファクタ- / Ca^<2+> / 細胞の極性 / シグナル伝達 |
研究概要 |
酵母の接合過程には性フェロモン、αファクタ-が重要な役割を担っている。その機序の解明は高等動物のホルモン作用のモデル系として広く注目されている。本研究計画はαファクタ-による細胞表層の成長様式の変化の誘導過程に於けるCa^<2+>の役割を明らかにすることを目的としている。本年度に得られた主な成果は以下の二点である。 1.従来のαファクタ-の作用は継時的に直列にプログラムされた二つのシグナル伝達系からなることを提唱して来た。Ca^<2+>の細胞内流入をもたらし細胞の形態変形を誘導する過程は、遺伝子発現に到る初期過程とはその機構が異なることが強く示唆された。即ち近縁種S.kruyveriの分泌するαファクタ-(α^k)は第1の過程のシグナル伝達を誘導するが濃度を高めてもCa^<2+>の細胞内流入-形態変化の誘導は全く起こらない。しかしα^kで前処理した細胞は高濃度の本来のαファクタ-を感知したただちにCa^<2+>の流入を始める状態に細胞を変化させる能力は保持している。一方超感受性変異として知られるsst2株は第1のシグナル伝達により自動的に第2のシグナル伝達も作動することが明らかとなり、SST2産物が第2のシグナル伝達過程を特異的に負に制御していることが示された。 2.αファクタ-による形態変化の誘導過程に於ける生物学的に重要な問題点の1つは、細胞がいかにして自らの伸長の方向を決定し得るかという点である。酵母細胞が本来もっている極性をαファクタ-は変化させ得ることが考えられるが、今回種々の実験から酵母はαファクタ-の濃度勾配を感知しその最も高い方向へと伸長の方向性を決定することを示すことに成功した。この事実は第2のシグナル伝達系の作動が何故高いαファクタ-依存性をもつか、又細胞表層に局所的に誘導されるCa^<2+>の流入が細胞の極性の獲得にいかに重要であるかという点を説明する。以上の成果は現在2つの論文として投稿準備中である。
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