研究課題/領域番号 |
01641510
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
平井 恵二 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (70156628)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | マイスナ-神経叢細胞 / 細胞内Caイオン濃度 / fura-2 / シナプス後電位 / 細胞内電位記録 / 膜電位固定法 / 電位依存性Caチャネル / Ca依存性Kチャネル |
研究概要 |
モルモット盲腸壁内在、粘膜下神経叢細胞を用い以下の実験を行った。細胞内微小電極を用い、単一ニュ-ロンにfura-2を注入し細胞内Caイオン濃度([Ca^<2+>]i)を測定しながら、同時に当該細胞の膜電位を記録或は通電制御し、各種刺激応答時の細胞内Caイオン動態を観察、解析した。本年度は主にシナプス前神経線維刺激に応じて発生するシナプス後電位発生時の細胞内Caイオン動態について検討した。 結果:(1)ニコチン性アセチルコリン受容体を介する脱分極電位(fast EPSP)発生時には[Ca^<2+>]iが上昇した。膜電位固定法により、膜電位依存性のCaチャネル(VSCC)を介した二次的変化が起こらない状態でもこの[Ca^<2+>]iの上昇は見られた。(2)IPSPの伝達物質候補物質であるノルアドレナリン(NA)は、膜抵抗の減少を伴った過分極を起こし、同時に[Ca^<2+>]iを低下させた。しかし、膜電位固定下ではNAは[Ca^<2+>]iをやや上昇させることから、膜の過分極によりVSCCが閉じて二次的に[Ca^<2+>]iが低下したものと思われる。このことは、Kチャネルに作用したCaイオンと、VSCCを介して二次的に変化したCaイオンとは細胞内において部位的に、また機能的に異なるものであることを示唆している。(3)IPSPには、希にムスカリン性アセチルコリン受容体を介するものがあり、この場合には膜が過分極するにもかかわらず[Ca^<2+>]iが上昇した。(4)slow EPSPおよびその伝達物質の一つであるサブスタンスPによる脱分極発生時には共に[Ca^<2+>]iの上昇がみられ、膜電位固定によりその変化は小さくなったが消失することはなかった。 このように各シナプス後電位毎に異なる細胞内Caイオン動態が観察され、それぞれ違う作用機作に基づくものであることが解った。今後はそれらに関わる情報伝達系、細胞内Caの貯蔵、放出部位、Caチャネルの種類等について詳細に検討する予定である。
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