研究課題/領域番号 |
01641513
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
山村 博平 福井医科大学, 医学部, 教授 (90030882)
|
研究分担者 |
田中 幸枝 福井医科大学, 医学部, 教務職員 (10197486)
谷口 隆信 福井医科大学, 医学部, 助手 (60217130)
箸本 英吉 福井医科大学, 医学部, 助教授 (20116239)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1989年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | Cキナ-ゼ / 限定分解 / トリプシン様プロテア-ゼ / イオン強度 / pH / ヒストキナ-ゼ |
研究概要 |
私共は、肝細胞膜を種々のイオン強度下(0〜210mMNaCl)でインキュベイトすると内因性トリプシン様プロテア-ゼの作用によりある種のヒストンキナ-ゼの活性化が認められることを見い出した。この肝細胞膜におけるプロテインキナ-ゼの活性化機構をさらに解析したところ反応溶液のpHもまた重要な因子であることを見いだした。即ちこのヒストンキナ-ゼのプロテア-ゼによる活性化速度は生理的な条件よりやや高いイオン強度(140〜210mMNaCl)とアルカリ側のpH(7.5〜8.0)のもとで最も早く、この2つの因子の効果はほぼ相加的である。そこでこの活性化されて膜から遊離した酵素を種々のクロマトグラフィ-で約500倍精製しその性質を検討した。本酵素はゲルロカ法で分子量約5万のセリンキナ-ゼで小牛胸線の全ヒストン、H_2Bヒストン、プロタミンの燐酸化ではその最大活性に高Mg^<2+>の存在(75mM)を必要とする。cAMP、Ca^<2+>、燐脂質、ヂアシルグリセロ-ル、カルモジュリンなど種々のプロテインキナ-ゼの活性調節因子は本酵素の活性に影響を与えないがH-7によって阻害されそのKiは6μMである。また燐酸化ヒストンのトリプシン消化ペプチドをHPLCで解析したところその燐酸化ペプチドの溶出パタ-ンはラット脳のCキナ-ゼを限定消化してえた活性化酵素を用いた場合と一致する。これらの特徴はいずれも膜に結合したCキナ-ゼが限定消化を受け活性化されたことを示唆しているが、この点はウエスタンブロット法でも確認された。この反応に関与するCキナ-ゼの分子種はタイプIIIの酵素であった。これらの結果は、肝臓のタイプIIIに属するCキナ-ゼが膜周辺のイオン強度とpHの変化に対応してトリプシン様プロテア-ゼによって限定分解を受け活性化されることを示しており、本酵素のダウンレギュレイションや細胞膜のNa^+/H^+交換輸送形の活性化との共役などの点からも興味深い現象である。
|