研究課題/領域番号 |
01643003
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大場 忠道 金沢大学, 教養部, 教授 (60013588)
|
研究分担者 |
鎮西 清高 京都大学, 理学部, 教授 (70011517)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 最終氷期 / 北西太平洋 / 海洋古環境 / 酸素同位体地 / 貝化石群集 |
研究概要 |
先史モンゴロイド集団が移住・拡散を開始した背景には自然環境の変化が深く係わっていたと予想されるが、本研究は最終氷期以降の北西太平洋における海洋環境の変遷を明らかにすることを目的として行われた。その目的のために、日本周辺の海底コアに含まれる有孔虫化石の酸素同位体地の測定から海流系の変化を追跡すると同時に、日本列島各地の浅海性堆積層に含まれる貝化石群集の解析から沿岸の環境変化を復元し、両者の結果を統合した。その結果、次の結論が得られた。 1.沖縄東方と四国海盆の2本の海底コアについて得られた酸素同位体比カーブは、外洋における一般的なそれと類似しており、過去10万年のグローバルな海洋環境の変化が記録されている。 2.日本列島南岸沖合いの千本の海底コアについて得られた浮遊性有孔虫の単一種の酸素同位体比カーブを相互に比較することにより、黒潮前線は1.3万年前に遠州灘沖を、1万年前に房総半島沖を通過したことが確認された。 3.九州西方の海底コアの解析によって、対馬暖流は過去3万年以降この海域を流れていたことが判明した。 4.日本海の6本の海底コアに含まれる有孔虫化石の酸素・炭素同位体比の測定結果および有機炭素量の解析から 過去8.5万年間の日本海には淡水流入(2.7〜2万年間)、親潮流入(2〜1.3万年間)、対馬暖流の流入(1万年以降)という事件が起ったことが明らかとなった。 5.貝化石群集から完新世の時代に、太平洋側のみならず日本海側にも浅海の温暖種が侵入していることが確認された。 以上の結果から、日本列島周辺海域の海洋古環境の変遷が、日本海側では過去8.5万年について、太平洋側では約2万年以降について一段と明らかになってきた。
|