研究課題/領域番号 |
01643512
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
松井 章 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 文部技官 (20157225)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 動物遺存体 / イヌ / 家畜化 / 馴化 / 考古学 / 動物骨 |
研究概要 |
これまでの報告書から家犬を出土した遺跡のリストを作成し、カ-ド化、そしてコンピュ-タデ-タベ-ス化を行った。その結果、家犬の起源は更新世にまで遡る可能性が強いこと、完新世の東アジアにはすでに各地で独自の形質を持つ家犬が知られ、日本列島では縄文時代の早期から小形犬が主要な系統であったことが判明した。 最古のイヌは2.3万年以前から西アジアから東アジアに分布する小形のオオカミが、旧石器時代人によって馴化されたものである。また、北アメリカでも1万年以前に遡る年代の家犬の埋葬例がしられ、マンモスハンタ-がベ-リング海峡を渡ったときに連れて行ったか、独自に馴化されたものか今後に問題を残している。旧石器時代のイヌの出土例は、まだまだ少なく例外的なもので、馴化されたとしても系統を追えるものでなく、孤立的であったと考えらえれよう。現在、世界中に分布する家犬ともっとも関係が深く、かつ古いのは、西アジアの遺跡から出土する家犬で、約12000年前後の年代が与えられている。 中世の草戸千軒町遺跡から出土した家犬を観察したところ、人為的な切傷、火にあぶった痕跡を持つものが多く、食犬の風習が存在したことを裏付けた。食犬の風習は、近・現代では朝鮮半島から中国大陸、そして南アジアに広がることがわかるが、歴史的には不明なことが多い。兵庫県明石城の武家屋敷跡から出土した例でも、江戸時代の後半に武家社会においても食犬風習が存在していたことを物語っている。今後、文献史に記されることの少ない食犬風習の伝統がどのような歴史的流れを持つものか、考古学的に考察するとが必要とされている。
|