単結晶Si上に、バッファ-層としてZrO_2およびYSZを、エピタキシャル成長し、その上にBa-Y-Cu-O系高温超伝導薄膜を熱処理を行うことなく形成した。この膜のTcは、84Kであり、70Kでの臨界電流密度は、10^4A/cm^2であった。 この膜の超伝導素子への応用として、SrのVLSIの素子分高技術に用いられるトレンチ技術を用いて、深さ約3μmの溝でパタ-ニングされたSi表面上に、マイクロブリッヂ素子を形成した。加工精度は、約0.8μmで、幅(8〜2)μm、長さ2μmの素子を形成した。この素子の臨界電流密度は、バルクの値と一致し、この素子は、粒界に無関係なジョセフソン効果を示すことが確認された。また、マイクロ波により、ジョセフソン効果に特有なシャピロステップ特性がI-V特性に生じた。素子のI-V特性および渦子運動領域でのダイナミック抵抗は、Aslamazouとdarkinによる理論的予言と定性的に一致する。素子の幅が、磁場侵入距離よりも長いことで上記理論を修正して、実験を解析した。 次に、超伝導膜の品質向上に関しては、バッファ-層としてY_2O_3/YSZを用いた。この場合のBa-Y-Cu-O膜は、イオンビ-ム・チャネリングによるランダムと整列方向のYieed比が、約4%と優れた結晶性を示す。また、77Kでの臨界電流密度は、5×10^5A/cm^2と向上した。 今後の課題として、上記マイクロブリッヂを組合して、高感度SQUID素子の形成を試みる。また、マイクロブリッヂ素子の超伝導電流のゲ-ト制御による超伝導トランジスタ素子形成を試みる。
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