研究課題/領域番号 |
01645505
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
工藤 徹一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90205097)
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研究分担者 |
岸本 昭 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (30211874)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 過酸化ポリ酸 / 低温焼成法 / 複合酸化物母体(ホスト) / イオン交換 |
研究概要 |
タングステンに過酸化水素水を作用させると、新しいタイプの過酸化ポリ酸が生成する。この酸は種々のカチオンと不溶性の非晶質塩を作るが、これを前駆体として用いる低温焼成法により、通常の方法では得られない複合酸化物を合成できる。本研究は、このような方法で多くの複合酸化物母体(ホスト)を合成し、それらから導かれる導電性酸化物の物性を検討しつつ、超伝導体の探索を行なうことを目的として研究を行なった。 過酸化ポリタングステン酸(IPA)は、既報と同様に合成した。この溶液に硝酸バリウム攪拌しながら加えると、白色のバリウム塩(Ba-IPA)が沈澱した。この塩は、520℃で結晶化し、650〜700℃で別の結晶相に転移したあと、800℃付近でWO_3とBaWO_4に不均化する。通常の固相反応では800℃以上の高温を必要とするため、ここで得られた二つの結晶相を得ることはできない。 520℃で生成した最初の結晶相:xBaO・WO_3(=Ba_xW_<1-x/3>O_3,x=0.3)は、ほぼ正八面体のWO_6が頂点共有してできたフレ-ムワ-クを基本構造としている。この構造(空間群P6_3/mmc)は、既に報告のある六方晶WO_3や六方晶タングステンブロンズ(P6_3/mmc)とは異なる全く新しいものである。 ここで得られた化合物は完全酸化状態にあり導電性を示さない。導伝性を付与するためには何らかのド-ピングが必要である。Ba_xW_<1-x/3>O_3を例にとれば、Baを一旦プロトンにイオン交換し、これにLa^<3+>を注入するような方法が最も有望と考えられる。このためBa_xW_<1-x/3>O_3を1NHNO_3中で80℃加熱したところ、40%のBaが比較的速やかに交換し、母体の構造はそのまま保存されることがわかった。現在La^<3+>を注入する方法について検討している。xCs_2O・WO_3、xK_2O・WO_3も同様なド-ピングを行なう予定である。
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