研究課題/領域番号 |
01645509
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
兒嶋 弘直 山梨大学, 工学部, 教授 (90020346)
|
研究分担者 |
田中 功 山梨大学, 工学部, 助手 (40155114)
斎藤 幸典 山梨大学, 工学部, 助教授 (70005445)
|
研究期間 (年度) |
1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
|
キーワード | 酸化物高温超伝導体 / 単結晶 / ランタン系状態図 / 浮遊帯域法 / 異方性 |
研究概要 |
酸化物高温超伝導体の超伝導機構の解明には大形の単結晶を用いて種々の物性を測定することが不可欠である。本研究では酸化物超伝導体であるLa_<2-x>Sr_xCuO_4(LSCOと略す)単結晶を溶媒移動浮遊帯域法(TSFZ法)を用いて育成を試みた。しかし、この酸化物は分解溶融化合物であるので、単結晶を育成するためには、この固相の組成と平衡にある液相組成から育成する必要がある。そのために、本年はLa_2O_3ーCuO系の状態図を熱分析およびSCFZ法を用いて作成し、どのような組成から目的の単結晶をうることが出来るかを検討した。その結果、60〜85mol%CuO組成の液相と平衡共存することが明らかになった。予備実験として20mol%La_2O_3 80mol%CuO組成の焼結物を0.1MPa(大気圧)の酸素雰囲気中で溶融凝固させたところ、溶融時に融液からCuOの蒸発が見られ、生成物はLa_2O_3とLa_2CuO_4であった。これは融液の組成がLa-rich側にずれたためと考えられる。そこで、0.2MPaの加圧酸素雰囲気中で溶融凝固させたところ、CuOの蒸発がかなり抑えられ、生成物はLa_2CuO_4とCuOが析出していた。このことは、結晶育成には0.2MPaの酸素加工が必要なことを示唆している。状態図と予備実験を考慮して、78mol%CuO組成の溶媒をもちいて、TSFZ法で結晶育成を行ったところ、直径6mm、長さ40mm程度の大きさで金属光沢のある黒色のLSCO単結晶が得られた。育成結晶の側面にはファセットが現れ、背面ラウエ法によると(001)面であることが確認された。育成結晶の組成はLa_<1.86>Sr_<0.14>CuO_4であり、帯磁率および電気抵抗の温度依存性の測定からTcが37kの超伝導体であることが明らかになった。常伝導状態の電気抵抗はc軸方向がa軸方向と比較して数百倍も大きいことが明らかになった。現在はSrの固溶量を変化させてのLSCO単結晶の育成を試みている。
|