研究概要 |
現在知られている代表的な酸化物超伝導体La_<1-x>Sr_xCuO_4(LSCOと略す)、YBa_2Cu_3O_7(YBCOと略す)、Bi-Sr-Ca-Cu-Oの合成を行い、それらの高温(室温-900℃)での物性測定(帯磁率、電気抵抗、熱起電力)を行なった。結果を以下に列記する。 1.帯磁率 YBCO(置換体を含む)の大気圧下での帯磁率の温度変化は650℃に斜方、正方転移に対応する異常を示した。また酸素欠損YBCOを石英管内に封入した試料は400℃と650℃付近に明瞭な相転移を示す。 2.電気抵抗 LSCOの電気抵抗は昇温過程において200℃付近に明らかな異常を示す。 YBCOは650℃(斜方、正方転移)、720℃、800℃付近の3ケ所に電気抵抗の異常を示す。後2者は何らかの相転移に関係したものと思われるが明らかではない。Bi素酸化物(2212,2223相)は昇温時に700℃付近に異常を示すが、降温時にはこれは見られない。 3.熱起電力(ゼ-ベック係数) LSCOはSr量Xが0.16≦X≦0.50では負のゼ-ボック係数(S)を示す。また絶対値は温度とともに増加する。 YBCOは500℃以下ではSは負に値を示し、500℃以上の酸素量の少ない状態では正の値となる。 Bi系酸化物は2212,2223相ともに全温度域で負の値を示す。 以上、ゼ-ベック係数は測定を行なった全ての酸化物超伝導体で互いに良く似た温度変化を示し、値は負であることがわかった。これはこれらの酸化物において、伝導相体としてホ-ルのみでなく電子も考慮に入れなければならないことを示唆している。
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