研究概要 |
初年度は、オルガノポリゲルマンとして、3種類のフェニル置換トリゲルマンとドデカメチルシクロヘキサゲルマンの光分解過程を捕捉剤との実験、マトリックスアイソレ-ション法(77K)、およびレ-ザ-閃光法(293K)を用いて研究した。(1)フェニル置換トリゲルマン(PhMe_2Ge)_2GeMe_2,(Me_3Ge)_2GeMePh,(Me_3Ge)_2GePh_2,を低圧水銀ランプで光照射するとジゲルマンとゲルマニウムを含む高沸点化合物が生成した。光反応における可能な反応中間体を捕捉するために捕捉剤との実験を行なった。その結果、ゲルミレン、ゲルミルラジカル、およびジゲルミルラジカルが存在することがわかった。ゲルミレンは分光学的にも観測できた(吸収極大420-440nm)。ジゲルミルマジカルも同様、分光学的に観測できた(吸収極大320-330nm)。得られた実験結果をまとめると、トリゲルマンの光分解過程は、ゲルミレンが協奏的に放出される経路とトリゲルマンのゲルマニウム-ゲルマニウム結合がホモリティフに切断され、ゲルミルラジカルとジゲルミルラジカルが生成する過程が競争していることが初めてわかった。(2)ドデカメチルシクロヘキサゲルマン(Me_2Ge)_6、を低圧水銀ランプで光照射するとジメチルゲルマレンを放出して、デカメチルシクロペンタゲルマン(Me_2Ge)_5、さらにオクタメチルシクロテトラゲルマン、(Me_2Ge)_4、が生成した。ジメチルゲルミレンはジエンや四塩化炭素により捕捉できた。レ-ザ-閃光法により得られた450nmの過渡吸収がジメチルゲルミレンのものと確認できた。3-メチルペンタン中で(Me_2Ge)_6を光照射すると(77K)430nmにジメチルゲルミレンの吸収極大を、650nmにケイ光スペクトルを観測でき、ゲルミレンの励起状態に関する情報が初めて得られた。
|