研究概要 |
1.研究の目的……1つはショットキ-障壁型赤外センサ-の長波長化,もう1つはn-Si/p^+-SiGe/n-Si HBTへの応用を目的として,Silicide(Germanide)/p^+-SiGe接合に対するGeの影響について検討した。 2.本年度の研究実績……CZ Si基板上にMBE法によりSi_<1-x>Gexを成長,成長層・基板界面のキャリア濃度分布,歪Si_<1-x>Gex層の熱緩和,PtとSiGe層との反応について検討したが,ここではPt/SiGe界面の反応について述べる。Si基板上にSi_<0.8>Ge_<0.2>を基板温度550℃で1000A成長させ,室温に下ろしてPtを1000A連続して蒸着した。その後Ar中で300℃,3h;400℃,1h,16h;500℃,1hの熱処理を行い,AES,X線の測定を行なって,Silicide,Germanideの形成過程を検討した。 300℃,3hの熱処理によってはPt_2(Si_<0.8>Ge_<0.2>)_1の層が形成される。400℃,1hの熱処理では均一なPt_1(Si_<0.8>Ge_<0.2>)_1の層が形成された。400℃,16hの熱処理をすると,わずかながら界面のGeの量が増加しており,Geが内部に移動し始めていることが分かった。500℃,1hの熱処理を行うと,表面層のGeはほとんど内部に押しやられ,表面層はほぼPt_1Si_1層になっていることがAESの結果からわかった。内部に押しやられたGeはSi_<0.1>Ge_<0.9>という層を形成していた。 これらの結果から次のように考えられる。PtとSiの結合は,PtとGeの結合より強いために,高温または長時間熱処理すると,PtSiの結合が支配的になり,SiGe層のGeは内部に追いやられ,PtSiとSiGe層またはSi基板との界面にGe richのSiGe層を形成する。このことは,SiGeと金属を直接反応させる事は好ましくないことを意味している。
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